松脂やヒートクレイなど、彫金の固定アイテムの紹介と使用方法

彫金固定アイテムの紹介
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こんにちは彫金師の上谷です。

彫金師になって15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。

今回は松脂やヒートクレイ、モデリングコンパウンドなどシルバーアクセサリーなど作業する対象を固定するためのアイテムに関して書いていきたいと思います。

固定するためのアイテムは使い方を知っているか知らないかで作業工程と作業効率が大きく変わってきますので、「工具屋で見たけど使い方がよくわからないから買わなかった。」という人は一度読んでみてください。

今回は一般的な使用方法を紹介していきます。

では「読む彫金教室」始まり始まり~

固定アイテムは彫りや石留めなどの作業のしやすさに大きく影響を与えるので本記事を読んだうえで彫りの練習に挑戦してみるとその効果のほどがわかると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。

初心者の方が彫金の知識を増やすために役立つ電子書籍を用意しています。

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目次

松脂やヒートクレイなど、彫金の固定アイテムの紹介と使用方法

一般的に彫金で彫る対象を固定する道具は

  1. 松脂
  2. モデリングコンパウンド
  3. ヒートクレイ

この3つになります。

他にも紙粘土を使ったり樹脂を使うなど色々と方法はありますが今回は基本になる3つについて紹介します。

事前の知識としてこちらの動画をご覧ください。

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彫金の固定アイテム「松脂」

蹴り彫り・ヤニ台
蹴り彫り・ヤニ台

まずは絶対的に使うのが松脂(まつやに)、写真の周りの黒い部分が松脂です。

一番伝統的に使われおり、とても便利で彫金をやるうえでは必須アイテムですが慣れるまでは使用難度が非常に高いです。

形を変えて当て金的な使い方をしたり色々と用途を変えて結構使いまわします。

砲弾型にした松脂
砲弾型にした松脂
彫金台にセットした松脂
彫金台にセットした松脂

ただ薬品で溶かして除去したりもするのでロスが多い素材なので定期的に購入する必要があります。

彫金で模様を彫り入れていく時、中が空洞のものは溶かした松脂を流し込んでから作業します。

松脂
松脂

松脂の使用方法

細かく砕いて鍋にのっけて弱火で熱していくとトロトロになるので自由自在に形を変えられます。

市販されている松脂はすぐに使える状態になっているものもありますが、基本的に用途によって粘度の調節をする必要があるので結局は自分で松煙地の粉松脂・植物油を混ぜてコトコトやります。

松煙地の粉は色味とつやつや具合を調節するときに使っているのでそこまで頻繁には使いません。

趣味レベルであれば自分で煮込んだりする必要はないと思うので完成品を買いましょう。↓

粘度の調節で少しずつ油を垂らしてから煮て、硬さを調節していきます。

あまり足しすぎるとベトベトで硬さが足りなくなるので調整します。この時松煙と地の粉を使います。

機械油でも硬さの調節は出来ますがちょっとシャバシャバしすぎているのと、機械油は熱の上昇を防ぐ効果があるのであまり使いません。逆に使い終わった後の松脂とか固定アイテムの剥離の時に機械油を使う事があります。

全部をトロトロにして使わない場合は貼り付けたい部分だけを温めます、温めるのは何を使っても自由ですが基本はガスバーナーです。

自由ですが彫金の本にはバーナーと書いてあったので彫金を始めたばかりの筆者は素直に松脂を使っていました。

バーナーであぶる時は空気を控えめにして炎がボワーッとユラユラ出る状態(ブンゼン)にします。シュゴーッと炎が出る状態(ブロー)だと熱が集中しすぎて焦げます。

ただ作業の後剥がしやすくするためにちょこちょこ部分的に焦がしておいたりもします。

上の砲弾型にした松ヤニの写真をよく見るとブツブツ、ボコボコしているところがあると思いますが全部わざと焦がしたところです。

表裏から叩いて成形していく【打ち出し】をやる時に面積が大きいものは剥がすのがめんどくさいので、

伝統的な方法とは違いますが、接着力が落ちる焦げ面を作って効率的にはがせるようにした効率的な方法だと考えています。

松脂の成形にアイロンを使う。

細かく形を作っていく必要がある時はアイロンの先端でチマチマやります。アイロン超便利。

アイロンとクッキングシート
アイロンとクッキングシート

形作った後は自然冷却で冷えて固まるのを待ちます。

・中に詰めて使用する場合、急冷するのはNG

平面で使ってその上で蹴り彫りや打ち出しで使うのであれば氷とかで急冷して硬さを調節してもいいんですが、zippoのように中に詰める系の作業の時は金属自体、または松脂が縮んで変形するので急冷はしない方がいいと思います。変形して中で剥がれたら詰めた意味が無くなります。

急冷した時に「パキッ」て音がしたら中で剥がれた証拠なのでやり直しになります。

松脂は使い慣れるまではかなりめんどくさく感じる固定アイテムです。

ただ自分で粘度や剥がせる具合を調整できるようになると、強度や汎用性の総合力においてぶっちぎりで便利な道具です。

モデリングコンパウンド

モデリングコンパウンド
モデリングコンパウンド

前回のブログにも書きましたがモデリングコンパウンドを詰める場合もあります。

利点は冷えるとカッチカチになるので、彫金で彫った時の力が逃げないため彫金との相性はいいです。

熱するとトロトロになるので単純な固定にはちょうどいいのですが、熱された部分のみが柔らかくなるので全体的にトロトロにして使いたいときは一定の温度(60度)で保管する必要があります。炊飯器の保温が便利。

炊飯器に60℃のお湯を張ってジップロックに入れたモデリングコンパウンドを放り込んでおくと取り出した時にすぐ使えて便利です。

ただ取り出すと比較的早く硬くなるのでスピードが要求されます。

冷えると粘性がなくなるので、松脂と同じような感覚で固定して使うと一瞬で割れて外れます。

そのため固定対象を軽く覆うような感じで固定する必要があるのですが薄いとパキパキ割れるのでいくらか慣れが必要です。破壊して取り外すのは向いてますが、めちゃくちゃ飛び散るのでマスクをしましょう。

写真のモデリングコンパウンドは細かく分けて保管しています。この方が使いやすい。

モデリングコンパウンドを大きな塊にしてリングホルダーのようにしている人もいるみたいですね。

もともとは歯医者さんが入れ歯を作る時に歯型を取るためのものなので、医療器具に分類されてます。

Amazonとかの通販サイトの場合、ホビーのジャンルで検索しても出てきにくいかもしれません。

初心者に一番おすすめ、ヒートクレイ

ヒートクレイに固定したペンダントトップ
ヒートクレイに固定したペンダントトップ

色はグレーで、一番使いやすい固定アイテムです。

私のヒートクレイは柔らかくするときにバーナーでキツめに炙るので結構黒くなっています。

熱してもそこまでトロトロにはならないので雑に扱っても大丈夫ですが油断したら火傷します。

固定アイテムの中では一番安全です。

ヒートクレイは冷えると粘性が全くなくなります。

松脂やモデリングコンパウンドと比べると急冷してもそこまで変形しない・縮まないのでかなり便利です。(全く変形しないとは言っていない)

ただ硬く破損しにくくなるので破壊して取り外すのには向いてませんし、後から何かを混ぜて粘性を調節するようなことはできません。

彫金の固定する工具ヒートクレイの使い方

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ヒートクレイの詳しい使い方について紹介しています。

固定アイテムの剥離・除去方法

基本的に固定アイテムの剥離・除去は

  1. 熱を与える
  2. 破壊する
  3. 薬品で溶かす

このいずれかの方法になります。

※「作業が終わったら指で簡単に外せるように留める」という人がいるかもしれませんがそれは完全な間違いです。しっかりとした作業をする必要がある場合は、松脂にガッツリ埋め込むようなちゃんとした固定が必要です。

1の「熱を与える方法」が一番基本で軽く火を当ててポロっと外れるように固定するのがベストです。

次に指輪なんかをガッツリ留めていて宝石がついているとなると火を当てるのはまずいので2の破壊、固定している周りの部分の松脂やモデリングコンパウンドを割ります。

加熱する方法は上記の固定アイテム全てで使用できます。

ただヒートクレイは破壊・薬品の除去には向いていないので作業の工程を考えて破壊工程が必要な時はヒートクレイは使いません。

またヒートクレイは溶けないので、破壊する必要や薬品で溶かす必要があるのであれば最初からヒートクレイは選択肢に入らないという事になります。

一番溶けやすいのは松脂とモデリングコンパウンドのどちらか。というのは、松脂をどのぐらいの粘度に調整しているかによって変わってくるので一概には言えません。

松脂とモデリングコンパウンドを溶かすのにアセトン、酢酸アミールという薬品を使います(またはシンナー)。

中が空洞のものは松脂を詰めて作業が終わったら熱してある程度掻き出したら後はアセトンに沈めます。

あんまり漬け込むと金属の表面を傷める時もあるので気をつけましょう。

彫金の作業であると便利な小物

固定と除去に使う小物
固定と除去に使う小物

固定する時と除去する時ですが写真の割りばし・綿棒・爪楊枝が大活躍します。

もうこれ無かったらできん。

100均やホームセンターで売っているものでとんでもない性能を発揮するものもあるので是非お試しください。

彫金は最後の仕上げ彫りで終われば一番なんですが洗浄が必要な場合が出てきますので細かいところは薬品を染み込ませた綿棒や爪楊枝で洗ってから最後に洗浄機にかけます。

今回紹介している固定アイテムも最後の細かいところに入り込んだ松脂を掻き出すのに爪楊枝は大活躍します。

少し先端を濡らしてから揉んで箒状にします。

完全に私のオリジナルですが便利なので気になった方は試してみてください。

100均アイテムを使う事でコストを抑えることが出来ます。

松脂などの固定アイテムを使用する際の注意点

トロトロの松脂で火傷するとシャレにならないレベル(真皮層)の火傷になるのでやる人は気を付けてください、自己責任でお願いします。

筆者(上谷)とIMULTAの関係者は一切責任を取りません。

責任ある行動をとれない方は火事を起こしたりするので彫金はしない方がいいです。

文面だと嫌な感じに見えますが、家が燃えたり大やけどしてから後悔しても遅いと思いますのでご理解ください。

まとめ

使用難度の低いものほどケガの危険度が低くなるので取り合えずヒートクレイから始めるのが無難だと思います。

それでも適当にやれば火傷するので気を付けてください。

松脂は専用のカセットコンロを用意した方がいいレベルで汚れるので趣味レベルで使うのは現実的じゃないかと思います。

IMULTA(@imulta_jewelry)でした。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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