溶けて白熱したシルバー

彫金するときに熱処理したり金属の厚みを気にしたり。

こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。

独学で彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっている上谷です。

 

今日は彫金をやる時の金属とその厚さに関して書きます。

彫る時の金属の厚み

最近はジュエリーの製作工程の全般を彫金と呼ぶことが一般的ですが、

以前からこのブログでは彫金を「金属に模様を彫る事」としています。

元々は「金属に模様を彫る事」が彫金です。

 

彫る厚み

とりあえず彫る事について書きます。

この前(4/27)のハンドメイドメーカーズで実演をしていた時に聞かれたんですが、

基本的に彫金を施すのにあまり厚みは関係ありません。

0.3㎜あればちゃんと固定できている場合は普通に彫れます。

0.3mmの真鍮版への彫金
0.3mmの真鍮版への彫金

薄い金属に彫金する場合、切削油などを併用するとぶち抜いてしまうので気を付けていますが

彫る時に使用する彫金タガネの形によっても彫り方が変わってくるので

彫った感触で変えています。

彫金においての細かな調整は彫る人間に体格によって変わってくるので

「彫り方はこうっ!!」と断言することはできません。

ちなみに今まで書いた彫金のハウツーは一般的な模様と超基本についてなのでメチャ参考になります。

 

変形させる彫り

オリジナルの彫り方で彫りながら立体的に変形させていく彫り方があります。

0.5㎜ぐらいの厚さであれば松脂の硬さを調整して

タガネの「アゴ」と呼ばれる部分を打ち付けるように彫っていく事で

変形させながら彫っていく事ができます。へし彫りと呼んでます。

ちなみにそれ以上になるのであれば表裏から打ち出した方がいいです。

 

へし彫りをやるなら

へし彫りは私のオリジナル。

読んだ人がやるかどうかは別として、

・松脂の硬さと固定の調整

・タガネの形を研いでの調整

・叩く角度を調整する技術

・彫る金属の熱処理

が必要なので結構大変です。

応用の彫り方なので練習するのであれば基本の三日月彫りを繰り返す事をオススメします。

 

金属の種類による加工の違い。

私が使用している金属の中で言うとシルバーはあまり硬くないです。

彫金のサンプルなどで多用する真鍮は結構硬いほうですね。

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貴金属は合金によって違いますがゴールドは基本的に柔らかくてアンティーク系のものは時効効果で硬くなっているものと脆くなっているもの様々あります。

彫金鍛金どちらのコツにもなりますが、硬いものほど頻繁に「なまし」を入れた方がいいです。

めんどくさがって「なまし」をしないで作業をずっとしていると割れたりします。

割れたらスッパリ諦めがつくんですが、

たまに変な皴(しわ)みたいのが入って「何とかなんねぇかな–;」とあきらめにくい状態になったりします。

これが一番めんどくさいのでちょこちょこなました方がいいです。

 

金属は全体の特性として加工硬化するので作業しているうちに硬くなります。

粘りのない性質の金属ほど加工硬化が早く起きるので熱して急冷してという「なまし」が必要になります。

※余談

金属工学の研究員の方と少しお話をさせていただく機会があったのでこれ幸いと専門家に熱処理について色々聞いたんですが、学術的に数字で結論を出している方は感覚的にやっている人間よりも明確に一段深いところにいますね。

基本的に彫金で感覚的に行っているような熱処理というのは

冶金学の初歩的な部分のようなので、

金属工学に詳しい方は彫金に向いているかもしれません。

ただ勘違いしないでもらいたいのは金属加工において研究されている方と彫金師では加工する方向性が全く違うのでどっちが優れているという話ではありません。研究室でやるような破壊実験は彫金師にはあまり必要ないですからね。

 

加工の厚み

熱処理した後、手でハンマーを使っての打ち出しに適している厚さはどの金属でも大体1.5㎜ぐらいまでです。(※あくまでジュエリーとか帯留めとかの小物のサイズ。)

それ以上になるとめちゃくちゃ時間がかかって割に合わないので「ワックスで形を作ってキャストしたらいいと思うよ?」って感じになります。

頑張って2㎜厚の真鍮版を打ち出したこともありましたが正直無駄な時間でした。

練習には0.7㎜厚ぐらいが厚すぎず薄すぎず練習しやすい厚みです。

1㎜厚はコツをつかんでからじゃないとできないので最初はやらない方がいいです。

ここで言うコツっていうのは「あ~、こう叩いたらこうなるからここを先に叩いておけばよかったんだ。」といった作業の段取りのようなものです。

銅板を打ち出してお面のような立体的なものを作るのか?はたまた錺金具(かざりかなぐ)のような平面の中でポコッとした立体感を出すのか?によって作業は違いますよね。

何だったら0.4㎜ぐらいの薄い金属板で練習して

「金属板ってハンマーで叩いたりでこんなに形変えられるんだ!!!?」

っていうのを認識してからやった方がいいと思いますよ。

 

まとめ

今回は金属の加工と厚みについてでした。

練習の時は0.7㎜厚ぐらいでちゃんと「なまし」をして練習しましょう。

筆者のオリジナルのへし彫りは0.5㎜厚まで

彫る練習は三日月彫りがオススメ。

以上です。

 

IMULTA(@imulta_jewelry)でした。

 

彫金を施したスターリングシルバーのzippo
彫金を施したスターリングシルバーのzippo

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