こんにちは彫金師の上谷です。
今回は彫金タガネを研いだ後の確認についてです。
彫金のオーダーを検討されている方に向けての注意点なども紹介していきますので最後までご覧ください。
今回の動画では片切タガネを中心に使用していますが確認の方法は毛彫りタガネでもだいたい一緒です。
Youtubeに上げた動画にもテキストを貼り付けたので少しはわかりやすいかもしれません。
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研いだ彫金タガネを銅板を彫って確認する。
お疲れ様でした。#彫金#ご依頼はDMからお気軽にどうぞ pic.twitter.com/9cfi3BSehZ
— IMULTA(イムルタ ) -美しい模様を彫る職人 (@imulta_jewelry) March 31, 2020
過去に彫金タガネの研ぎ方について紹介しましたが、今回は研いだ後にしっかりと研げているかの確認です。
たまに「回数はどのくらい叩くのか?」といった質問を頂きますがとても数える気になりません。
多分少なくて数千回ではないでしょうか?
研ぎあがって彫る前にルーペで確認する
人それぞれですが私の場合は研ぎながら15倍ルーペで確認しつつ研ぎすすめていきます。
「研ぎ終わったかな?」と思ったらもう一度15倍ルーペで確認して試し彫りに移ります。
特に超硬タガネの場合、確認をしないで試し彫りをするとうまく研げていなかった時はすぐに欠けることがあります。
初めて研ぐ人はあまりわからないとは思いますが、何回も研ぎ上がりを確認することで
- 上手く研げている時
- 上手く研げていない時
両方の状態を確認できるので私は確認しながら研いだ方がいいと考えています。
以前書いたブログ記事で「自分の望んだ形のタガネを作る必要ないのであれば研ぐ必要はないお思います。」と書きました。
市販品では存在しない形のタガネを作る場合に研ぎ上がりを確認するのは、単純に研げているかという事だけではなく作ったタガネが自分の思ったとおりの効果を発揮するかの確認にもなります。
(※今回使用している片切タガネはちょっと変化をつけている以外は市販のものとあまり変わりません。)
彫り過ぎて消耗させない
せっかく研いだタガネを消耗させては意味がないので試し彫りはほどほどにします。
今回の動画の場合は別の目的もあるので一通りスクロール模様を彫金していますが普段は1~5彫りぐらいしかしません。
ただ銅板の場合はよほど彫らない限りはそこまで消耗しないので今回程度であれば多少砥石で手入れをすれば戻ります。
試し彫りをして刃先の角度が甘い場合は研磨機をかけ直してしっかりと研ぎ直します。
彫り方の浅い深いを使い分けて状態を確認する
研ぎあがった後はちょびっと彫っただけで「できてる~。」となるのではなく浅く彫ったり深く彫ったりで状態を確認します。
これはタガネの形によって確認するポイントが変わってきますが、基本的な毛彫りや片切の場合は刃の入り方や彫り進めた時の金属の取れ方(私は彫り離れと呼んでいます。)を確認します。
彫った筋がキラキラになるかどうかは彫った人間の腕が関係してくるので何とも言えませんが、しっかり彫り跡が光るように研げたとしても自分の使い方に合わない刃の入り方のタガネになっては意味がありません。
まずは自分が使いやすい形を見つけるのがオススメです。
ざっくりとした例を挙げると
- 力強い彫り方をしたいのであればタガネの刃の角度を鈍角にする
- 刃先でサラサラっと彫る感じにしたいのであれば鋭角にする
このようになります。
鏨の先端をどのくらいの広さの刃にするかによっても彫り具合は変わってくるので人によってその塩梅は変わってきますが入り口の考え方はこの二つだと考えています。
薄い金属、厚みの無い金属への彫金
ここからはオーダーを検討されている方向けの内容になります。
物にもよりますが昨今の金属製品のほとんどは使いやすさを追求して薄い金属を使用して軽く作っていることがほとんどです。
ステンレスや特にチタンなどは薄くても強度がある事と軽さが売りなのでその二つを使用している金属製品は大体極薄です。
そのため強い力を与える彫金を施すと変形する恐れがあります。
お客様が「変形しても構わない」とご了承いただいた場合は彫ることもありますが、個人的にはあまり気が進みません。
※ちなみに今まで一度も破損したことはありません。
過去のzippoのオーダー例を紹介した記事でも書きましたが、アーマータイプではないzippoは非常に薄いので力強い彫り方はオススメしません。
彫る力に負けて金属が変形した場合、製品によってはその機能を大きく損なう可能性がありますのでご了承ください。
また一度で深く彫らなくとも何度も繰り返し薄く彫ることで深さを出すことも可能ですがその製品の耐久性が失われるため実用性が無くなってしまう事も考えられます。
彫金を施したものをギャラリーにまとめていますので興味のある方はご覧ください。
まとめ
今回はタガネの研ぎ直しをした際に動画を取ることを思い立ったのである程度はわかりやすい仕上がりになったのではないかと思います。
タガネを研ぐのは根気よく研ぐ以外にはないので色々と試してみる事をオススメします。
焼きなまし・焼き入れの勉強にもなるので、やるのであれば赤タガネからチャレンジするのがいいと思います。
オーダーを検討されている方はデザインについてお話させていただく際に製品の強度についてのご説明も致します。
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