こんにちはIMULTA(イムルタ)彫金師の上谷です。
今回はろう付けについてゴールドフィルドを使った指輪を例にして紹介します。
数年前からハンドメイドのアクセサリーでゴールドフィルドが流行ってきてその需要が高まっていますが、メッキと違いゴールドフィルドはロウ付けをする事が可能です。
実際に興味がある方でもどのようにやるかなど不明な部分があると思いますので説明していきます。
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異素材のロウ付け方法とゴールドフィルドのジュエリー紹介
今回紹介するシルバーとゴールドフィルドの異素材をロウ付けで合わせたジュエリーがこちらの「bouquet(ブーケ)」。
重ね付けをする事で花束のようになります。
リング部分がゴールドフィルド、花に見立てた宝石の石留部分はシルバーで構成されています。
※もし作るのであれば注意が必要
ゴールドフィルドはアレルギーフリーの素材として期待されています。
ただ今回のシルバーとの組み合わせのように異素材とのロウ付けを行った場合はアレルギーフリーのは要素は全くなくなります。
またゴールドフィルド同士をロウ付けした場合もロウ材部分はアレルギーフリーではありませんのでお気を付けください。
ハンドメイドで使われる金属の特徴についてはこちらの電子書籍をご覧ください。
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ロウ付けとは
たまに「どうやって銀と金をくっつけてるの??接着剤??」聞かれるのですが宝石を留めている石座の部分は【ロウ付け】という技法で付けています。
簡単に言うと溶けやすい銀の合金(銀ロウ)をシルバーと金の間において溶かして付ける技術です。
かなり練習が必要になる技術で今はヒョイヒョイやっていますが初めたばかりの頃は結構大変でした。
ロウ付けのやり方を防火から説明している投稿はこちら
自分でロウ付けを行う場合防火・防炎が必須なのでやってみたい方は安全対策に関しての記事を絶対に読んでください。
・余談でロウ付けの昔話
めちゃめちゃ昔(古代)の人で、エトルリア人という民族がいました。
この民族の職人はこのロウ付け技法が滅法上手かったそうで、現代の技術をもってしても「??????これどうやってたんだろう?????」と頭をひねってしまう物が残っています。
文字を持っていなかったそうなので技術が絶えているようです。
筆者はこのエピソードを知ってからというもの
最新の機材を使わなくてもできる独自の技術があるんじゃないかと自分なりに色々と意味があるかどうか不明な方法を試しています^^
その試行錯誤の一つが今回のロウ付け方法です。
ロウ付けに必要な道具
・バーナー
・ピンセット
・銀ロウ
・フラックス
・ディクセル
・多目の水
・耐熱レンガ
・机
・防火スプレー(超重要)
火事には気をつけてくださいね!!
詳しい道具の説明と安全対策についてはこちらの記事を読んでください。
ろう付けにはガスバーナーを使用します。
安全対策を十分に行ってからロウ付け作業をしてください。
ゴールドフィルドをロウ付けしたリング
金色のアクセサリーが欲しいという意見をいただいたこともあって、最近流行っているゴールドフィルドをシルバーと組み合わせて作っています。
ゴールドとシルバーのコンビネーションのアイテムは結構少ないような気がしたのでリング部分をゴールド、石を留めている石座の部分をシルバーにしました。
銀ロウを使ったロウ付けは異素材を組み合わせることの出来る溶接方法なので、ゴールドフィルドと銀、真鍮と銀といった異素材同士のロウ付けも可能です。
メッキとは違いゴールドフィルドは厚みが無くても真鍮の表面に高圧で圧着してあるので多少のロウ付けであれば熱に耐えられます。
ただササッとやらないと表面の金が荒れたり傷むので技術が必要です。
ろう付け後のゴールドフィルドの表面がピンク色に変色している場合は表面の金が傷んで真鍮が露出している可能性があります。
赤(レッド)
青(ブルー)
緑(グリーン)
黄色(イエロー)
ピンク
紫(パープル)
オレンジ
黒(ブラック)
クリア(透明)
シャンパンゴールド
全10色になります。組み合わせは写真以外にも選べます。
リングの幅は宝石などのないところで0.8mmですので3本付けても2.4mm、付けやすい太さになっています。
宝石が留まっているタイプの他に、より植物モチーフ感を出すために葉っぱモチーフのリングも用意しました。
それぞれ1本で着けても非常に美しい作りになっており気品があります。
ゴールドフィルドにも種類がありますがこのリングに使用しているのは14kgf、14金相当の色味のリングになります。
ただ見た目通り非常に華奢なので雑な扱いをすると表面の金が簡単に剥がれます。
・よほどうまくロウ付けしてもゴールドフィルドは劣化します。
ゴールドフィルドの説明でよく見るのは「メッキよりも頑丈ではがれにくい。」という文面をあらゆるところで目にします。
ただリングの状態に加工してロウ付けもしているとなれば表面が劣化しているのは明らかです。
写真のものはきれいに映っていますし、出来るだけストレスを欠けないようにサッとロウ付けしましたが火を当てる事には変わらないので多少の劣化はします。
メチャクチャ高価なパルス溶接機を使用するのであれば溶接面以外にストレスがかからないので「メッキと違ってはがれにくい」といえます。
この記事を見て自分でロウ付けして販売しようという方は「ロウ付けした以上ゴールドフィルドは劣化した状態になっている」という事を認識しておきましょう。
先述した通りゴールドフィルドをロウ付けした場合「アレルギーが出にくい」という要素はなくなります。
金属のアレルギーに関してはこちらの記事をご覧ください。
ゴールドフィルドのロウ付けのやり方
実際に挑戦するという方は事前に「ちゃんとやるのは難しい」という事をご了承ください。
表面の金が剥がれようが何だろうが、とにかくくっつけばなんでもいい。というのであれば通常のロウ付けと一緒です。
基本的に一般的なロウ付けと同じです。
- ロウ付けする面をすり合わせる
- ロウ付け箇所にフラックスを塗る
- ロウ付け箇所にロウ材を乗せる
- 火を当てる
ゴールドフィルドはメッキと違ってロウ付けすることができます。
ただ購入するお店で質問してみると「メッキより多少は熱に耐えられる」という答えが返ってくると思います。
やるのであれば超短時間でサッとやらないとゴールドフィルドが剥がれてただの真鍮線になるのでお気を付けください。
ロウ付けしてピンク色になっている=火に当てる時間が長すぎて失敗していると考えましょう。
ロウ付けの温度管理について考えるとどの程度火を当てればよいかなどがわかりやすくなります。
筆者の場合「作業内容の検証をするために作業工程を増やす」という考え方をしています。
とにかく簡単にやりたいという方には向かないと思うので、そういう方は彫金教室・学校に通う事をオススメします。
ゴールドフィルドのロウ付けのポイント
上で書いた通りゴールドフィルドがロウ付けできますが、あまり長時間火を当てると表面の金が中身の真鍮から剥離するのでササッと終わらせる必要があります。
ゴールドフィルドの中身は真鍮なのでそれ自体も溶けやすいです。
高い火力で一気に熱する必要があるんですが慣れないうちは当てるべきポイントがわからないと思うので、弱い火力でロウ材の状態と母材の状態を確認しながらロウ付けすることがポイントです。
最初から成功はほぼ不可能なので、何度か失敗しながら「これならサッと出来る。」という自分なりのポイントを探す必要があります。
高い火力のメリット・デメリット
・メリット
・ロウ付けが早く終わる。
・正しい場所を熱すればほぼ母材(くっつけたい金属)を傷めない
・デメリット
・母材を溶かす可能性がある。ゴールドフィルドもそうですが真鍮のものは溶けやすいです。
低い火力のメリット・デメリット
・メリット
・母材全体の様子を見ながらロウ付けできるので溶かす心配がない。
・デメリット
・ロウ付けに時間がかかる
・ゴールドフィルドが剥がれる
異素材同士(シルバーと真鍮など)のロウ付けの前提
まず異素材同士のロウ付けは同じ金属同士のロウ付けよりも温度管理が難しいので難易度が高めです。
極端なことを言うと同じ金属同士の基本的なロウ付けはフラックスという酸化を防いで流動性を高める薬品をガッツリ塗っておけば強く熱するだけでロウ付けできます。(※あくまで極論です。)
しかし異素材同士の場合は温度の変上がり方がそれぞれ違うのでそもそも温度管理が難しくなります。
そのうえロウ材の流動性を高めるために無闇にフラックスを多めに塗ると水分が多くなり温度管理に余計な手間がかかるので、フラックスは薄めに塗るのがコツになります。(※もちろん足りないのは本末転倒です。)
しかし「薄く塗る」というのを意識しすぎるとフラックスがちゃんと塗れておらずロウ付けの失敗率が上がる可能性が高まります。
ゴールドフィルドのロウ付けを本当にやりたい方は別途温度管理に関して理解度が深める記事を用意していますのでそちらの記事もご覧ください。
ろう付けでフラックスの火の当て方を紹介、丁寧なろう付けで作業への理解を深める。
コストは大して変わりませんがロウ付けの練習はホームセンターに売っている真鍮棒で練習しましょう。
コスト的にアルミ材のほうが安く練習に使用することも可能ですが、アルミ材のロウ付けはフラックスの種類などが違い金属全般の中でもロウ付けの難易度が高いのでオススメしません。
異素材のロウ付け方法とゴールドフィルドのジュエリー紹介まとめ
今回はロウ付けの簡単な紹介に合わせて、ゴールドフィルドのジュエリーも紹介しました(現在廃盤)。
また今回のようにシルバーとゴールドフィルドのように異素材のロウ付けも可能なのでご自身でチャレンジしたい方は防火・防炎にくれぐれも気を付けて行ってください。
少々ハンドメイドのレベルを超えている部分もありますがアクセサリーやジュエリー製作の参考になれば幸いです。
ロウ付けは彫金の独学の中でも火を扱うため危険度が高いので、独学でやるにしてもどこかの彫金教室で体験してからやるのをオススメします。
IMULTA(@imulta_jewelry)でした。
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