ヴァイキングが身につけた銀・ブロンズの装飾品 ─ 権威と信仰を映す工芸美

ヴァイキング時代の銀・ブロンズ装飾品を並べた図。渦巻き文様の円形ブローチ、トールのハンマー型ペンダント、動物頭の装飾が付いたねじれ模様の腕輪、ケルト結び文様が刻まれた指輪がアンティーク調に描かれている。
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ヴァイキングにおける装飾品の役割

ヴァイキング時代の銀・ブロンズ装飾品を並べた図。渦巻き文様の円形ブローチ、トールのハンマー型ペンダント、動物頭の装飾が付いたねじれ模様の腕輪、ケルト結び文様が刻まれた指輪がアンティーク調に描かれている。

ヴァイキングが身につけた装飾品は、単なる装飾ではなく社会的地位・富・信仰の象徴でした。

戦士たちだけでなく、女性や子どもも銀やブロンズの装飾を身につけ、家系や所属を示したと考えられます。

ヴァイキング時代は貨幣の流通が限定的だったため、銀の装飾品そのものが「価値の保存手段」としても機能し、輪や銀塊は、しばしばそのまま取引や贈与の際に用いられました。

彫金されたエングレービングシルバーリングが並んでいる
彫金されたエングレービングシルバーリングが並んでいる

銀とブロンズ ─ 素材の意味

銀(Silver)

北欧では富の象徴であり、特に交易で手に入れたアラブ銀貨を溶かし、再加工することが多く行われました。
銀は「月」や「神秘」と結びつき、祭祀や護符としても重視されました。

ブロンズ(青銅)

日用品や装飾品の素材として広く使われました。
銀より安価で加工しやすく、農民や一般層にも普及。幾何学文様や動物モチーフのブローチなど、日常の中で美を楽しむ素材でした。

代表的な装飾品の種類

ブローチ(Brooch)

衣服を留める実用的な金具でありながら、紋章的な意味を持ち、持ち主の身分や所属を示しました。
例:円形ブローチ、亀甲ブローチ

腕輪(Arm-ring)

銀製の腕輪は特に重要で、富の象徴であると同時に「切断して銀片として流通」させることもできる実用品。

首飾り(Necklace)

琥珀やガラス玉を組み合わせ、銀やブロンズで装飾。魔除けや信仰を込めたペンダントも多く、トールのハンマー「ミョルニル」の形をしたものが代表的。

指輪(Rings)

誓約や契約の象徴として用いられ、婚姻や盟約の際に交換されたともいわれます。

装飾技法の特徴

ヴァイキングの銀・ブロンズ装飾には高度な金属工芸が用いられました。

  • フィリグリー(線細工):細い金属線を編んで文様を作る技法
  • グラニュレーション(粒金細工):微細な粒を装飾的に配置
  • インレイ(象嵌):金や銀を彫り込んだ溝に埋め込む
  • 打ち出し(Repoussé):金属を裏から叩いて浮き彫りにする

こうした技術は、ヴァイキングが単なる戦士ではなく、熟練した工芸文化を持つ民族だったことを示しています。

装飾品に込められた象徴性

装飾品の多くは北欧神話と関わりを持っていました。

  • トールのハンマー型ペンダント=力と守護
  • カラスや狼を象ったモチーフ=オーディンの象徴
  • 渦巻きや結び文様=生命の循環と永遠

これらの装飾は、持ち主を守る護符であり、同時に信仰の表現でもありました。

まとめ

ヴァイキングが身につけた銀・ブロンズの装飾品は、富・地位・信仰を映す文化遺産でした。

彼らの装飾文化を通して、荒々しい戦士のイメージだけでなく、繊細で高度な工芸美を追求した一面が見えてきます。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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