今回はパワーストーン文化について紹介します。
念のため書いておきますがオカルト的な話ではありません。
しかしヒーリングなどの効果を否定するつもりはありません。
個人的に各民族に伝わるお守り的な考え方は非常に好きなので、変にのめり込まないのであれば非常にお勧めです。
以前紹介したヒッピー文化から派生したニューエイジのパワーストーン思想の紹介がメインの部分になります。
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日本のパワーストーン文化の歴史──東洋思想からニューエイジ、そして1990年代ブームへ

現代の日本では、天然石=「パワーストーン」という言葉が広く浸透しています。
恋愛運・金運・健康運など、石に意味があると言われる文化は、もうすっかり身近なものになりました。
今ではすっかり日本に馴染んだ「パワーストーン文化」ですが、どのように日本に入って来たかというのをご存じの方は少ないかもしれません。
遡ると 東洋思想(気・陰陽五行・仏教) に根を持ち、アメリカの ニューエイジ運動 を経由し、1990年代の日本で ストリート文化と共に爆発的に広まった という、とても興味深い歴史を持っています。


パワーストーン文化の源流は「東洋思想」にある
石は古代から「力を宿すもの」という土着信仰は世界各地にあった。
日本や中国に限らず古代文化では、石は魔除けや守護、霊的象徴として扱われてきた歴史があります。
色々とありますが以下のようなものが代表例と言えるかもしれまません。
- 翡翠(ヒスイ):縄文〜古墳時代、日本で勾玉として使用
- 水晶(クリスタル):仏具・修験道の法具として使用
- 瑪瑙(アゲート):交易品として珍重
- 琥珀:装飾と護符の二面性を持つ
つまり日本文化はもともと「石=霊的な働きを持つもの」という感覚を持っていました。
マンガやアニメ、小説などの創作物の元ネタとしても枚挙にいとまがないですね。
陰陽五行思想と“気”の概念
中国の伝統思想である 陰陽五行 では、自然界のすべてのものが五つの要素(木火土金水)で構成されると考えられています。
ここで重要なのが物質には“気(エネルギー)”が流れているという世界観。
天然石もまた、「地の気を宿したもの」として扱われ薬石・護符・風水に用いられてきました。
つまり、日本が天然石に意味を感じる根本には東洋的な“自然観・エネルギー観”が深く根付いていたと言えます。
アメリカで生まれた“ニューエイジ文化”がパワーストーンの意味付けを変えた
ヒッピー文化 → ニューエイジへ
1960年代のアメリカで起きたヒッピー文化はファッション的な部分の他に以下の思想・主張が代表的なものになります。
- 政府・戦争(特にベトナム戦争)への反発
- 大量消費社会(資本主義)への嫌悪
- キリスト教的価値観や家父長制に対する否定
- 企業社会・管理社会に組み込まれることへの拒絶
- 東洋思想や精神世界への強い興味
- 自然回帰、コミューン生活への憧れ
- 差別反対・平和主義
簡単に言うと戦争や差別などの社会体制への反発と自然主義、スピリチュアル系の思想となります。
映画「フォレスト・ガンプ」などで描かれているように、反戦活動を一種のファッションとしてとらえて楽しんでいる人間も多数いたので自然主義と称してマリファナにふけるなど、ヒッピー文化をどのように捉えているかは人によってまちまちでしょう。
ただ自然主義を求めた結果インディアンジュエリーが再評価され、その結果先住民が霊的な力を宿していると信じているターコイズやコーラルなどの天然石も注目されることになります。
今回のパワーストーンの考え方はヒッピー文化から1970年代にニューエイジ運動(新しい時代=精神性の時代の到来)へと進化からさらに発展します。
ニューエイジには特徴があります。
- 東洋思想(禅・ヨガ・インド哲学)の輸入
- チャクラ(インドの身体思想)の普及
- 瞑想・ヒーリング・波動(バイブレーション)
- 石にエネルギーを見出す「クリスタルヒーリング」
これにより石=精神的なエネルギーを持つものという現代的なパワーストーン観が生まれました。
アップル創始者のスティーブ・ジョブズはこのニューエイジにあたり、禅の思想に傾倒していたことが有名です。
現在の海外の著名人は若かりし頃、このヒッピームーヴメントに傾倒していた人が多いことで有名ですね。
余談ですがこのニューエイジの関してはWikipediaを英語版にすると非常に詳細に書かれているので面白いです。日本語版でも文量が多くかなり楽しく読めます。
宗教的な要素とも絡み合ったことがアメリカ全体を巻き込む熱量を生み出した要因のように感じられますね。
ターコイズとインディアンジュエリーの象徴性がさらにブームを後押し
ニューエイジと同時期に、アメリカでは インディアンジュエリーの精神性 も再評価されていました。
- ターコイズ:空・旅の守護
- コーラル:生命力
- フェザー:祈り・自然との調和
- サンダーバード:霊的象徴
これらの「石やモチーフの意味」がニューエイジ思想と結びつき、アメリカでは天然石が精神性の象徴として広く普及しました。
ニューエイジでパワーストーンが普及した関係は長くなるのでまた別記事で紹介します。

1990年代、日本に“パワーストーン文化”が本格的に到来
オカルトブームが起点
1980年代後半〜1990年代前半、日本では以下が流行しました。
- 超能力ブーム
- ムー的オカルト文化
- ゲームやマンガに登場する“魔法石”
- 少年マガジン『ストーンバスター』(1994年頃)などの創作物
この時期に“石=不思議な力がある”というイメージが子供〜若者に浸透します。
少年マガジンの「ストーンバスター」は正直マイナーなマンガですが筆者が好きなので例として入れました。
翡翠のような昔から日本にある石ではなくダイヤモンドなどの実在する宝石を力を持った石として使っていたのはこの作品が最初「かも」しれません。あくまで「かも」です。
筆者は1983年生まれなので、当時オカルトブームにだいぶ染まっていました。
2025年現在で40歳以上の方に聞くと当時のオカルトブームの凄さがわかると思います。
UFOとかネッシーなど、とにかく不思議なものはなんでも流行ってましたね。
任天堂と揉めていたスプーン曲げでお馴染みのユリ・ゲラーや、ハンドパワーでおなじみのミスターマリックもこのころです。
1995〜2000年代、シルバーアクセブームで爆発的に普及
1997年頃からクロムハーツ、ガボール、LONE ONESなどのシルバーブランドが日本のストリートを席巻し、雑誌がこぞって特集しました。
ちなみにシルバーアクセサリーのムック本で筆者が一番買っていたのはストリートJACKです。
この流れと同時に、ターコイズブレス、水晶のチョーカー、ヘンプ紐アクセ、天然石ビーズが若者のファッションとして流行しました。
つまりシルバーアクセブームが“パワーストーン”を一気に大衆化させていました。
当時は下北沢の北口にストーンマーケットの店舗があり、安価なシルバーアクセサリーとパワーストーンを販売していた事もかなり影響が大きかったと思います。
ウラハラブームと占いブームもあってファッション雑誌には必ず占いが載っていましたし、ファッションとスピリチュアルがここまで密接になっているのはおそらく日本だけではないでしょうか。
現在はどうかはわかりませんが、当時は原宿や下北沢のような若者文化の発信地はアパレルは当然として占い関係のお店がたくさんありました。
これは日本特有の現象であり、アメリカとは異なる“ファッション×スピリチュアル”のハイブリッド文化と言えるでしょう。


日本人が天然石を好む理由は、もともと東洋的価値観を持っていたから
日本がパワーストーン文化を自然に受け入れた理由は大きく3つあります。
① 日本文化に“石の象徴性”が古代から存在していた
勾玉・仏具・風水・陰陽道など、日本はそもそも“物に霊性を感じる文化”。
② “気・陰陽五行”という東洋の世界観が合っていた
ニューエイジの“エネルギー”概念が素直に受け入れられた。
③ ファッション文化と融合する土壌が90年代にできていた
シルバーブランドと天然石は相性が良く、若者文化として一気に広まった。
まとめ──日本のパワーストーン文化は東洋と西洋の混成文化
- 古代:日本・中国で“石の霊性”が宗教的に扱われる
- 1970年代:アメリカでニューエイジが“パワーストーン”概念を確立
- 1990年代:日本でオカルト+ストリートファッションと融合し大衆化
- 結果:現在の「パワーストーン」文化へ
つまり現代の日本のパワーストーン文化は、東洋の精神世界 × アメリカのニューエイジ × 日本の1990年代ファッションの三つが重なって成立しています。
ただの流行ではなく、歴史・価値観・ファッションの複合体として捉えることで、その奥行きがより立体的に見えてきます。
実は日本の古代の考え方がアメリカに行って、商業的に体系化されて帰ってきたというのが興味深いですね。
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