はじめに

遊牧民にとって広大な草原での生活は常に危険と隣り合わせでした。寒冷な気候、感染症、事故、外敵――これらの不安に対し、人々は 護符(お守り) を身につけることで安心を得てきました。
特に銀は「清浄な金属」とされ、護符の素材として重視されました。
本記事では、モンゴル遊牧民を中心とした銀製護符の文化的意味と信仰とのつながりを掘り下げていきます。
銀と信仰の関係
銀は「悪霊を退け、病を防ぐ金属」と信じられ、その輝きは太陽や月の光を宿すものと考えられました。
遊牧民はこれを身につけることで「霊的な結界」を作り、身を守ると信じていたのです。
- 子どもが病弱な場合に胸元へ護符を吊るす
- 出産や婚礼などの節目で贈られる護符
- 病気治癒を願い、銀片を火にくべて煙を浴びる
これらの習慣は銀を「生活に根付いた信仰具」として位置づけました。
護符の形とデザイン

銀製護符にはいくつかの代表的な形があります。
- ペンダント型:動物や幾何学文様を刻み、胸元に吊るす
- 小箱型(タリスマンケース):銀製の小箱に経文や薬草を入れて腰から下げる
モンゴル(遊牧民の)文様の象徴性
- 渦巻文様:生命力と永遠の循環
- 馬・羊・鷲:繁栄・守護・力の象徴
- 草花:自然との調和や豊穣祈願
- 太陽・星:宇宙的秩序や神聖さ
モンゴルと言えば蒼き狼ことチンギス・ハーンが有名です。
モンゴル民族の伝承には「蒼きオオカミと白き雌鹿」が先祖とされる建国神話があるようにオオカミとシカは非常に神聖視された存在です。
オオカミは文様として用いられるよりも牙や骨自体をお守りとして身に着けていたと言われています。
勇気や狩猟の象徴とされていたというのも目にしましたが筆者は見たことがありません。
シカは広義に見ると古代スキタイの遺跡のシカ石(モンゴルの世界遺産)にシカが描かれているというのはありますが、実際に装飾に使用されていたかはわかりません。
渦巻状に描かれた抽象文様が鹿の角を表すというものがありますが古代スキタイの文様が遊牧民文化にまで継承されたうえで、さらに装飾に用いられたかというと難しい部分があると思います。
かれた護符と人生儀礼
- 誕生:子ども誕生時に銀製護符を贈り、成長と健康を祈った。
- 婚礼:花嫁が腰飾りや銀護符を身につけ、繁栄と子孫繁栄を祈願。
- 死:死者の墓にも護符を添える例があり、あの世での安寧を願った。
これらは護符が人生の節目に深く関与していたことを示しています。
遊牧民の銀製護符と病気の予防
近代医学以前の社会では、護符は「病を遠ざける力」を担っていました。
- 子どもの発熱や痙攣を防ぐ
- 妊婦が安産を願って身につける
- 疫病流行時に家族全員で護符を所持
護符は「民間療法」と「信仰」が融合した形だったのです。
護符を支えたモンゴルの銀細工師
遊牧民社会には「銀細工師(ダランチ)」が存在し、彼らは装飾技術だけでなく文様に込められた意味を理解し、依頼者の願いを形にしていました。
銀細工師が作る護符は、信仰と技術の結晶でした。
現代に生きるモンゴルの銀製護符
民族衣装と祭礼:現在のモンゴルでも婚礼や祭礼で銀製護符が用いられ、文化の象徴として受け継がれていまるようです。
現代デザインへの応用:現在では信仰として護符の力を信じているかどうかはさておき民族的なアイデンティティの一つの象徴としてジュエリーデザイナーが護符のモチーフを取り入れ、ペンダントやチャームとしてアレンジしているようです。
民族的な背景を意識した「遊牧民スタイル」として世界に広がっています。
モンゴルの銀製護符に込められた意味の整理
- 護身の力:悪霊や病から守る
- 自然との結びつき:動植物モチーフに祈りを込める
- 人生儀礼:誕生・婚礼・死に寄り添う
- アイデンティティ:遊牧民であることを示す文化的記号
まとめ
銀製護符は遊牧民にとって、生活と信仰を結びつける重要な存在でした。
命を守る祈りの象徴であり、社会や家族を結びつける文化的財産でもあります。
現代においてもジュエリーや工芸として新たな形で受け継がれ、普遍的な「祈りの装飾」として輝きを放ち続けています。
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