エジプト装飾の配色と金属素材の使い分け ─ 神秘を宿す色と輝き

古代エジプトの装飾を象徴するアイキャッチ画像。金色の背景にアンク、ホルスの目、翼を持つスカラベ、カラフルなウェセク首飾りが配され、青・赤・緑の配色と金属素材の輝きを表現したデザイン。
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装飾の色と素材に込められた意味

古代エジプトの装飾を象徴するアイキャッチ画像。金色の背景にアンク、ホルスの目、翼を持つスカラベ、カラフルなウェセク首飾りが配され、青・赤・緑の配色と金属素材の輝きを表現したデザイン。

古代エジプトの首飾りや護符は、単に美しいだけではなく、色彩と素材そのものに神聖な意味が込められていました。

王族の黄金の首飾りから庶民の陶器製ペンダントに至るまで、装飾の配色は「生命・再生・守護」を象徴する宗教的なコードとして機能していたのです。

彫金されたエングレービングシルバーリングが並んでいる
彫金されたエングレービングシルバーリングが並んでいる

黄金 ─ 太陽と永遠の象徴

古代エジプトの象徴である黄金をテーマにしたアイキャッチ画像。翼を広げたスカラベ甲虫が太陽円盤を掲げ、金色の背景に『黄金 ─ 太陽と永遠の象徴』の文字が配置されたデザイン。

エジプト人にとって金は「神の肉」と呼ばれ、太陽神ラーの象徴でした。

腐食せず永遠に輝く性質から、王族の首飾りやマスク(ツタンカーメンの黄金マスクが代表例)に多用されました。

金は「不滅・神性」を示す金属として、王権を強調するための必須素材だったのです。

銀 ─ 月と神秘を表す金属

古代エジプトの象徴を銀色で表現したアイキャッチ画像。アンク、ホルスの目、スカラベ甲虫、三日月を配置し、月と神秘を表す金属としての銀を表現したデザイン。

金に比べると希少だった銀は、月や夜の象徴とされました。

太陽=金に対して、月=銀という対比が存在し、夜の守護や神秘的な力を宿すと信じられていました。

実際、銀は金よりも貴重とされ、祭祀用の装飾品に用いられることもありました。

青 ─ 天空と真理を象徴するラピスラズリ

古代エジプトの象徴をラピスラズリの青で表現したアイキャッチ画像。金色に輝くアンク、ホルスの目、翼を広げたスカラベ甲虫が配置され、天空と真理を象徴するデザイン

青は天空の色であり、神々の世界を表しました。

特にラピスラズリは「真理・宇宙」を象徴し、王族や神官の装飾品に頻繁に使われました。

また、青いガラスやターコイズも用いられ、守護・幸福を呼ぶ色とされました。

緑 ─ 再生と豊穣の象徴

古代エジプトの象徴をマラカイトの緑で表現したアイキャッチ画像。翼を広げたスカラベ甲虫とアンク、ロータスが金色で描かれ、再生と豊穣を象徴するデザイン。

緑は植物の芽吹きやナイルの恵みを表し、再生と豊穣の色として重要視されました。

特にマラカイトは護符やアイシャドウの顔料としても使用され、魔術的な効力を持つと考えられていました。

緑の装飾品は「命を更新する力」を持つと信じられたのです。

赤 ─ 生命力と守護を宿すカーネリアン

古代エジプトの象徴をカーネリアンの赤で表現したアイキャッチ画像。金色のアンク、ホルスの目、赤い太陽円盤を抱えた翼のスカラベ甲虫が配置され、情熱と守護を象徴するデザイン。

赤い宝石カーネリアンは、血や太陽の熱を象徴しました。

戦士や王が身につけることで「力と勇気」を与えるとされ、災難除けの護符としても重宝されました。

赤は同時に「破壊の炎」をも意味したため、強力な二面性を持つ色と考えられています。

黒 ─ 冥界と豊穣の両義性

古代エジプトの象徴を黒曜石の黒で表現したアイキャッチ画像。金色のアンク、ホルスの目、翼を広げたスカラベ甲虫、ロータスを配置し、冥界と豊穣を象徴するデザイン。

黒は「冥界」を意味すると同時に、「豊穣なナイルの土壌」を象徴しました。

黒い石や顔料は死者を守るための護符に使われ、死と再生の循環を表しました。

配色の組み合わせに宿る意味

古代エジプトの首飾りは、色彩のコントラストを巧みに使っていました。

  • 金 × 青 → 太陽と天空(王権の象徴)
  • 緑 × 赤 → 再生と生命力(生死のバランス)
  • 青 × 白 → 真理と浄化(神官の象徴)

配色は偶然の美ではなく、神々や宇宙観を反映する秩序そのものだったのです。

装飾技法と素材の工夫

古代エジプトの職人たちは、宝石やガラスを組み合わせる高度な技法を持っていました。

  • 象嵌(インレイ):金の枠に宝石やガラスをはめ込む
  • 彫刻と研磨:護符や神のシンボルを刻む
  • 着色ガラスの使用:庶民向けの代替素材

これらの技法により、素材の希少性を超えて「色彩の意味」を幅広い階層が共有できたのです。

現代に受け継がれる配色と素材の思想

今日でも、古代エジプトの配色や素材の選び方はジュエリーデザインに影響を与えています。

ゴールドとラピスラズリの組み合わせは、今も「高貴で神秘的」な印象を与え、シルバーやターコイズは「守護・癒し」を象徴する定番モチーフとなっています。

色彩と素材が伝える普遍的な価値

古代エジプトの装飾文化は、色や素材に象徴的な意味を与えることで「美」と「祈り」を融合させました。

単なる装飾を超えて、人間の生命観・宇宙観を映し出す道具だったのです。

まとめ

古代エジプトの配色と素材の使い分けは、

  • 金=太陽と永遠
  • 銀=月と神秘
  • 青=天空と真理
  • 緑=再生と豊穣
  • 赤=生命力と守護
  • 黒=死と再生の循環

といった明確な象徴性を持ち、人々の信仰と密接に結びついていました。

その思想は現代のジュエリーにも受け継がれ、色彩のストーリーテリングという形で私たちを魅了し続けています。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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