彫金の模様を彫り入れる技法は欧米ではエングレービングと呼ばれタガネを使って金属の表面に模様が彫り込む装飾は日本よりも一般的です。
日本と違ってタガネは手押しのビュランを使っているものの模様を彫り入れるという考え方は一緒といえます。
より線を使った中世のアンティーク風シルバーリング
中央にマーキスカットのジルコニアを留めたシルバーリング。
ジルコニアのカットに合わせてカットした地金に彫金で模様を彫り音でいます。
今回はルネサンス期を迎える前の中世ヨーロッパに合ったようなデザインをイメージして製作したため彫金のデザインも曲線を生かしたデザインよりももっと花や花の萼(がく)が一目で見てわかるように彫り入れの線の量を抑えています。
大きの面積に彫金模様を合わせて主張を強くしたシルバーリング
現在でもコンテンポラリー系のジュエリーで尖った個性を持っているものがあるのでそれらと比べると主張は弱くなるかもしれませんが、12~14世紀ごろにあったジュエリーは比較的繊細なものよりも主張強いものが多くあります。
マーキスカットのジルコニアの周りに花モチーフの模様を彫り入れることで他とは違った存在感のシルバーリングになっています。
室内照明と天然石の関係とカット技術の歴史
中世ヨーロッパというよりも夜間の照明が蝋燭中心だったころは現在と違って昼夜問わず室内は薄暗く環境でした。
そのため天然石はカット石でもそれほどその透明度や色味を発揮することができないため天然石の裏には色紙が張られていたという逸話があります。
現在のカットも近代になって生まれたものがほとんどでインドからダイヤモンドが伝わったころはシンプルなポイントカットしかカットの技法はありませんでした。
現在のブリリアントカットのようなカット技術自体もペルッツィという職人が1700年代に生み出したとされるものそこに至るまでの経緯は不明であり、カット技術の発展は家業を守るためにカット技術を持つ一族にのみ伝えられるものだったためわからないことが多くあります。
ジュエリーの天然石の留め方の良し悪しと留めた石の裏側の装飾などが注目されるのもカット技術の発展とともに並行してその見方が変わってきています。
まれに大昔のアンティークジュエリーの留め方と裏の処理に苦言を呈しているものを目にすることがありますが時代的な背景もあるので一概に良し悪しは語れないと考えます。
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