消費税を撤廃して成功したマレーシア ― 日本もできる理由と経済的根拠

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2025/05/02現在の日本で消費税の廃止が望まれています。

実際に消費税を廃止した国はないのかと調べたところマレーシアに「消費税撤廃」の成功例がありました。

大昔とかではなくごく最近の2018年の話で非常に興味深かったので紹介します。

それを踏まえて日本も同じように出来るかどうかというのを考えてみましょう。

目次

マレーシアは日本と同じ「付加価値税(GST)」を導入していた

  • 2015年、ナジブ政権下で「6%のGST(Goods and Services Tax)」が導入。
  • 日本の消費税と同じく、すべての取引段階に課税され、仕入れにも税がかかる仕組みだった。
  • 当然、庶民の生活が苦しくなり、景気も悪化

消費税には大きく分けて付加価値税と売上税があります。

付加価値税は仕入れから最終的な消費者への販売までそれぞれの取引すべての取引で消費税がかかり、売上税は最後に消費者に販売する取引のみに消費税がかかります。

最近立憲民主党が掲げた食料品の消費税ゼロに関して「海外でも食料品の消費税ゼロをやってるから問題ない。」という人がいますが、これは付加価値税と売上税の違いを知らずに言っている可能性があります。

つまりアメリカで行われている食料品の消費税ゼロは国が税収をあきらめるだけでいいから何の問題も起きないのです。

日本の場合は仕入れ業者や、最終的な納税分を一時的に小売店が大きく負担することが問題であり現実的なお金のやりくりがきつくなった結果、倒産につながる可能性があるという事です。

2018年に政権交代で消費税撤廃を公約にして勝利

  • 当時の野党連合(パカタン・ハラパン)が
    GST(消費税)を廃止する!」を掲げて総選挙に勝利。
  • その直後、
    • GST(付加価値税)を完全撤廃
    • 新たに「SST(Sales and Service Tax)」という単純な売上税を導入(税率も下げた)。

👉 付加価値課税方式から、シンプルな売上課税方式に切り替えた。

これを見ると消費税を廃止しても結局違う形の消費税が入っているではないかと感じる方もいると思います。

しかし先述した通り付加価値税と売上税は課税の仕方が違います。

ここで注意すべきは、付加価値税(GST)と売上税(SST)は全く別の税制であり、「代替」というより税の思想そのものが変更されたという点です。

では日本で消費税を廃止した際に変わりの税を入れる必要があるかというと必要あるとは考えにくいです。

なぜなら、日本は民間に巨額の金融資産があり、国内で十分に国債を消化できる経済構造を持っているからです。外貨に依存しておらず、「国債=政府の借金=民間の資産」という関係が成り立っているのです。

基本的に日本のような準機軸通貨と言える「円」の発行権を持ち、自国通貨建て国債を運用している国は国債を財源として充てることが出来ます。

当然インフレ率には気をつけないといけないので様子を見ながら増やします。

インフレが過熱しすぎる可能性があれば即効性のある金利の引き上げなどで対応します。

実際、日銀はすでに「イールドカーブ・コントロール(YCC)」などの政策で金利を調整しており、物価の動きに応じた機動的な対応が可能です。インフレ率が目標(たとえば2〜3%)を超えるようなら、金利調整や歳出抑制といった手段で調整ができます。

消費税を廃止した結果マレーシアはどうなったか?

項目GST時代(消費税あり)SST時代(消費税廃止後)
物価上昇安定・一部下落
家計負担増大軽減
景気悪化回復傾向
税収広く浅く安定して確保できた税収は減少

ここで重要なのが最後の「税収」の部分、マレーシアは消費税を廃止して税収は減ったけど経済回復を果たしたのです。

年度税制関連税収(概算)
2017年(GST時代)GST(付加価値税)約 440億リンギット(≒約1.4兆円)
2019年(SST再導入)SST(売上税+サービス税)約 270億リンギット(≒約0.9兆円)

※リンギット=約30円換算
※GSTは2018年6月に0%化、9月にSST導入。2018年の数字は過渡期で参考値。

👉 おおよそ年間170億リンギット(約5000億円)近くの税収減が発生した計算です。

しかし経済は回復した。

つまりこれは日本の消費税(付加価値税)が悪税だという証明です。

消費税廃止はなぜうまくいったのか?

  1. 庶民の可処分所得(使えるお金)が増えた
  2. 消費意欲が戻った(購買が増えた)
  3. それによって企業の売上も回復した
  4. 企業活動が活発になったので、法人税や所得税収入が回復した
  5. SST(売上税)もシンプルなため、事務負担が軽くなり経済活動がスムーズに。

👉つまり「税率を下げたのに、結果的に税収基盤が強くなった」ということ。

これを日本に置き換えたとしてもすべて当てはまります。

特に最後の5番は社会人の方には非常にわかる部分だと思います。

仕入れ税額控除やインボイス関連の手続きは非常に手間がかかり税理士などの専門家に頼むのも非常にお金がかかります。

この手続きがなくなれば無駄な残業は無くなり、企業も無駄な人件費を使う必要がなくなります。

さらに加えると日本の場合マレーシア以上の経済規模を持ち、「準基軸通貨としての円」「世界第2位の家計金融資産」「自国通貨建て国債市場」があり、減税しても通貨価値や国債需給が揺らがないという“特権”を持っています。

マレーシアの注目すべきポイント

  • 消費税撤廃は「ポピュリズム」とバカにされたけど、
    実際には経済合理性に基づく正しい政策判断だった。
  • IMFや世界銀行などの「財政規律至上主義」の機関からは批判されたが、
    マレーシア政府は無視して国民生活を優先。
  • 消費税を廃止した結果、経済成長もできた

日本でも「減税ポピュリズム」などと言っている人間がいますが税の増減はただの経済の調整弁です。

ポピュリズムかどうかは関係ありません。

そもそも長年結果を出してこなかった人間(特に民主党)が経済に関しての批判すること自体がおかしいと言えます。

まとめ:マレーシアから日本が学べること

✅ 消費税(付加価値税)撤廃は机上の空論ではない、マレーシアという実例がある。
✅ 「財源が~」という批判は、景気回復で乗り越えることも可能でそもそも国債発行によって賄える
✅ 庶民の生活を楽にすれば、結果的に国全体が強くなる。
✅ 財政規律だけを優先して国民生活を壊すのは本末転倒。

現状の日本の状況であれば消費税の廃止は十分可能です。

そもそも社会保障に全額使っていると公言していた消費税を輸出企業などの還付に使っている時点で企業優遇していると言えるでしょう。

消費税を残すにしても透明化もしないのは筋が通りません。

今後の政治において消費税は全くいらないものと言えますね。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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