消費税は「全額社会保障のため」だったはずでは?
「消費税は全額、社会保障に使われている」──このフレーズを聞いたことがある人は多いでしょう。与党幹部や官僚は、長年この“お題目”を掲げて消費税の増税を正当化してきました。
正直筆者は「少子化も進んでいるし仕方ないか。」なんて思っていました。
最近は森山幹事長が「全額社会保障に使われているわけではない。」とポロっと言ってしまったのでかなり話題になりましたね。
というかその前からだいぶ「本当か?」という空気があったので結構話題になってたと記憶しています。
ところが2025/04/30の財務金融委員会でこの前提を覆す重大な答弁がありました。
衆議院財務金融委員会で明かされた輸出還付金の真相
2025年4月30日、衆議院財務金融委員会で財務省の青木主税局長が答弁。
「2023年度の消費税収は約23兆円。そのうち8兆8000億円が“還付”に使われている」
まず勘違いしないでいただきたいのは答弁の中で「すべての業者の還付に使われたのが消費税収の中で8兆8000万円」なので国内の仕入れ税額控除に使われたものも含んでおり、この8.8兆円は輸出還付金のみの金額ではありません。
実際に輸出分だけを切り出した金額は回答できないと言っています。
しかしこの青木主税局長の回答だと「消費税が輸出の還付に使われていたという事は確定」ですよね。
還付に使ってないのであれば「消費税収23兆円は還付に使用していません。」と答弁するはずです。
消費税は全額社会保障に使われているとあれだけ言われてきたのですから、還付に使っていること自体がおかしいと言えます。
消費税は一般税なので使用用途は自由です。
しかし「全額、社会保障に使われている」というのが消費税減税を訴える声を退ける最強の盾でした。
全額社会保障に充ててたんじゃないの?石破総理のの公式発言
財務省の青木主税局長の回答にネットが騒然としたのですが、思い返してみると石破茂首相は2025年4月1日の記者会見でこう述べています。
「(消費税は)全額、社会保障に充てられている。これが減ったらどうしますかということも政府としては考えていかねばならない」
令和7年4月1日 石破内閣総理大臣記者会見 – 首相官邸
しかし現実にはそのうち8.8兆円が社会保障ではなく還付に使われている。
「全額社会保障に充てられている」は事実に反する虚偽だったという事です。
この発言はネット上で字幕がついた画像が出回っているので捏造だという人を見たことがあるのですが、実際に首相官邸のサイトに公式で掲載されています。
自民党の茂木敏充氏は「消費税を下げたら社会保障を3割カット」と発言
茂木敏充氏はNHK「日曜討論」でこう発言しています。
「消費税を下げたら、社会保障を3割カットしなければならない」
これもまた「消費税が全額社会保障に使われている」ことを前提にした話をしていましたが、実際には輸出企業を中心とする輸出企業への還付に何兆円も使われているという事は、この発言は虚偽だったわけですね。
虚偽というか誤前提導入をしたうえでの虚偽ですね。
こちら朝日新聞の記事です↓
「消費減税だと、社会保障3割減しなければならない」自民党・茂木氏
そもそも消費税の税収を輸出還付金に使っていることがもともと言っていた事と違うので話にならないのですが、輸出還付金にも使われていたというのを聞いた現在は筆者はこう考えます。
還付制度自体は非常に重要です。
しかしそもそも全額社会保障に使っていると言っていたものを還付に使い、いざ減税を求められたら社会保障を削って還付を優先するともとれる発言。
これはどう考えてもおかしいでしょう。
「還付制度」に文句を言っているのではなく「嘘」を述べたという事実。
今回の件ではいろんな反応が見られましたが少しずれた点で擁護している方がいました。
- 「輸出還付は国際ルールで当たり前」
- 「還付がなければ企業が損する」
ゼロ税率による輸出還付は国際的な制度ですし、誰も還付をするななんて事は言っていません。
少なくとも筆者は考えてません。輸出企業が単純に困りますからね。
さらに言うと制度的に消費税は「一般税」なので何に使うかという使用用途は自由です。
ただ問題はそこではありません。
本質的な問題は国民に嘘をついて要求を退けてきたという事。
「社会保障のため」と言って取った消費税を国民に無断で“別用途(輸出還付)”に流用していたこと、これは「説明責任の欠如」であり、明白な【信義違反】です。
確かに政治家が「全額社会保障に使う」と発言していても法的拘束力はありません
ただ国民に対して大々的に明確に嘘をついたのは事実ですよね。
前述したように「全額、社会保障に使われている」というのが消費税減税を訴える声を退ける最強の盾でした。
つまり自民党は明確に嘘をついて国民の要求を退けてきたという事です。
税の原則に反する“構造的不公平”
区分 | 消費税負担 | 還付 | 実質負担 |
---|---|---|---|
一般消費者 | 買うたび10% | なし | フル負担 |
小規模事業者(簡易課税) | 売上の概算課税 | なし | 概ね7〜8%負担 |
輸出大企業 | 国内仕入で消費税を負担 | 全額還付 | 実質ゼロ、むしろキャッシュフローが改善 |
この仕組みで誰が得して、誰が損しているのかは明らかでしょう。
極端な言い方になりますが最終的な輸出に関わる企業に対して仕入れの業者や消費者が貢いでいるような状態です。
このような話になった時に「輸出で大きな利益を稼いでいる企業は日本に大きな利益をもたらしているのでその輸出を邪魔するのは国益にならない。」という主張を見ました。
そんな話はしていません。
税制が歪んでいて明確に負担する側と得する側が出来ているのは制度がおかしいと言っているのです。
税の公平性という言葉を聞いたことがある方もいると思います。
消費税を輸出企業の還付に回す状態を公平だと思いますか?
消費税が輸出還付金に使われているとは判明した今、何が求められているのか?
「社会保障にすべて充てられている。」と言っていた消費税が輸出還付金に使われていた。
これを聞いたときに消費税を廃止したほうがいいと感じた人は多いと思います。
筆者もそう思います。
なぜなら嘘をついて勝手に使っていたので、今後ちゃんと運用しますと言われても信用できません。
そのうえ現在の世論は消費税の減税を求めています。
もし消費税を「廃止」ではなく「減税」で済ませるのであれば、最低限、次の改革が不可欠です。
✅消費税を廃止ではなく減税にとどめるのであれば 必須の透明化
- 使途の明示(例:社会保障に何%、還付に何%)
- 上位還付企業のリスト開示
- 輸出還付の上限または是正措置
- 目的税化または歳入の用途法制化
少なくとも今回の財務省の青木主税局長の回答を聞いて消費税の減税を行わないのは筋が通りません。
社会保障に全額使っていると思っていた消費税のうち8.8兆円が国内外関わらず還付に使われていたのですから、社会保障に使っているのであればと納得していた国民からしたら減税しない理由がありません。
まず還付に使っていた分の減税は必須です。
さらに言うと筆者の感覚としては一旦廃止しないとおかしいですね。
減税したとて消費税の税収をまた勝手に社会保障以外に使う可能性があるので残したいのであれば使用用途は公表する必要があります。
しかし2025/05/01現在の日本政府の状態を見ると法改正も全く進まないと感じるのでわかりやすく消費税の廃止をしたほうが経済回復の近道になるでしょう。
結論:国民が本当に納得できる税制度を
消費税の問題は「制度そのもの」ではなく、「説明と実態が違っていたこと」です。
- 嘘をついていた政治家に怒る
- 実態を公表せずに“社会保障”を盾にする政府の姿勢に怒る
- 自分が払った税金がどこに消えたのか分からない状態に怒る
国民が“怒る”のは当然です。
そしていま、納税者が声を上げ、構造を見直す時です。
今回の件でまたおかしなことを言いだす政治家がいると思うので名前を控えて立候補した際には落選させましょう。
また消費税を廃止して経済回復した国の一例としてマレーシアが挙げられます。
マレーシアは消費税を廃止したのち違う形の税を導入していますが、日本の場合は国債発行で賄えると考えられます。
そもそも全額社会保障に使っていたはずの消費税の税収の4割近くを国内外の還付に充てていたのであれば廃止しても問題ないと考えます。

国債発行に関してはいろいろと言っている方がいますが○○論などの話以前に、どのような仕組みで発行されているかを知っておくと消費税を廃止しても問題ないと感じるはずです。
