世界に観るアラベスク模様の派生と日本の唐草の多様性

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彫金とエングレービングで多用される唐草模様

彫金やエングレービングで使用されるアラベスク模様は日本においては唐草模様と呼ばれます。

アラベスク模様の「アラベスク」は「アラブ風・アラビア風」という意味で発祥した地が中東であり、そこから世界各地に広がったためアラベスクという名前で定着しました。

現代においてはもはやアラブ風という意味よりも模様の総称として「アラベスク」という名前だと認識している方のほうが大多数でしょう。

日本にいつ頃伝わってきたか正確にはわかりませんが、奈良時代の聖武天皇の正倉院に収蔵されている品の模様に葡萄唐草が描かれているので奈良時代には伝来していたようです。

筆者がIMULTAで彫っている彫金模様ではアカンサス模様を中心に彫っています。

アカンサス模様も植物模様で同じようにスクロール模様の一種として目にするためアラベスクがアカンサスの派生なのかアカンサスがアラベスクの派生なのかと考えるかもしれませんがその発祥はそれぞれ中東と古代ギリシャで全くの別にものです。

しかし植物模様はその多様な動きと現地の環境で繁茂する生命力がモチーフとなって生まれている関係で現在では一緒くたに認識されている場合もあります。

植物としての形を抽象化しながらも萼など植物の構成が以外ときちんとしている唐草

植物模様を彫る時はいろいろなパターンがありますが唐草模様はアカンサス模様に比べて害ときちんとしていることが少なくなりません。

もちろん風呂敷に描かれる唐草模様が違うので全ての唐草模様がそうではありませんが、奈良時代など古いものであれば花弁や萼など細かな隙間に描く場合でもきちんと構成されていることが多い印象があります。

先述した風呂敷など現代に近づくほど植物模様という発祥と関係なくただの模様として描かれるため簡略化したものなります。

エジプトで発祥したパルメットととも言えるような構成になっているものもあるため伝来した時代のものほどある意味忠実に表現されていたのでしょう。

交差した模様を彫った時ちゃんとつながっているかどうかは関係ない

有名ブランドの真贋を見分ける時にモノグラムが各面でつながっているかどうかというのが見分けるポイントになるという事をよく聞きます。

それと同じようにアカンサス模様を彫る時に交差した模様がきちんと繋がっているかどうかを気にする方がいます。

これは唐草模様が描かれている風呂敷に印象が引っ張られているのではないでしょうか。

アカンサス模様などが描かれた色んな図案集を見ている方はわかると思いますがちゃんとつながっているかどうかはあまり関係ありません。

あくまで意匠化した模様であるため簡略化するかどうかは自由です。

一番わかりやすい例を挙げるのであればケルト文化の紋様の一つであるインターレイスはその一部が動物になっていたり鳥の頭になっていたりします。

これは検索するとすぐ出てくる世界三大写本の「ケルズの書」「ダロウの書」「リンディスファーンの福音書」に用いられているので気になる方は調べてみてください。

またこれと同じようにアカンサス模様でも模様の途中から虎や魚になっているものも多数あります。

昔の人は伝来したものを忠実に表現するのと同時に尖った感性も持っていたようです。

まれにエングレービングや彫金をやっているという方で繋がっていないとおかしいと言う人に会いますがそれはその人のただの好みなのでこれから練習する方は気にする必要はありません。

その理屈でいくとハワイアンジュエリーなどの指輪で葉っぱだけを彫る図案もその人の考えだと枝がないからおかしいという事になってしまいます。

結局自分の好みのさじ加減で決めればいいことなので自由にデザインしましょう。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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