こんにちは彫金師の上谷です。
今回はロウ付けの火加減に関して覚えるための練習方法を紹介しています。
以前ブログにあげた記事でも火加減に描いたものがありますが、今回はどういった練習をすることでわかるようになるかという事を紹介していきます。
見た目ちょっと難しそうに感じるかもしれませんがあくまで初歩的なことを覚えるための練習方法なので難しく考えずに挑戦してみる事をオススメします。
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ロウ付けは加熱する時の感覚が重要。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。

やり方は解説付きで動画内で説明しています。
このロウ付けは火加減、加熱の感覚を覚えるためのものなので「ロウ付けで母材(真鍮やシルバーなどのくっつけたい金属)を溶かしてしまう。」という方に特におすすめです。
使用するのが真鍮の丸カンなのでそれほどコストもかからないというのもおすすめポイントです。
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寄付する丸カンのロウ付けに使用する材料と工具。
丸カン積みのロウ付け練習で使用する材料
材料一覧
- 真鍮板
- 真鍮の丸カン
- 銀ロウ
- ホワイトフラックス
丸カンだけでも問題ありませんが、最低限大きな母材との熱の伝わり方を覚えることも必要になるので、動画内で行っているように熱の伝わり方が大きく異なるサイズの母材を使用したほうがいいです。
真鍮の丸カンは無駄に熱すると溶けてしまうという事もありますが、不要な加熱をしていると銅色になってしまうので無駄な加熱をしているかどうかという目安にもなります。
筆者の場合は廃材入れに合った真鍮の板を使用しています。
糸鋸練習に使用した真鍮の板でもいいので温度の伝わり方に差があるもの同士で行いましょう。
丸カン積みのロウ付け練習で必要になる工具
工具一覧
- ガスバーナー(小口)
- ガスが足りなくなった時ように補充用のガス
- ピンセット
ガスバーナーはプリンスの小口バーナーを使用することをオススメします。
大きなガスバーナーでも可能ですが、「とにかく強い火力で熱すればよくわかんないけど出来る」の状態を解消するための練習なので小さなガスバーナーで行ったほうが色々と考察する事に向いています。
動画内でも同じように解説していますが火の当て方を考えるようになる事がこの練習のメインの目的になります。
丸カン積みロウ付けのやり方。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。

丸カンを積むロウ付けの練習のやり方
- 最初に母材を用意します。(これは何でもいいですが、冒頭で言った通り熱の通り方の異なる、または大きさの異なるものがオススメ。)
- 丸カンにホワイトフラックスをちょっとつけて、フラックスの粘度(ねっとり具合)を利用して銀ロウをくっつける。
- 丸カンをちょっと熱して銀ロウを半溶かしする(これで銀ロウを落ちないようにする。)
- 母材を熱して良きところで丸カンを添えて一緒に熱して銀ロウを流す。
- 1個目の丸カンのロウ付けの後、酸洗いせず(フラックスを除去せず)にそのまま丸カンのロウ付けを繰り返す。
動画ではわかりやすいように筆者は小口バーナーを使用していますが、あくまで「撮りやすいように&高火力でなくともロウ付けは出来る。」という事を認識してもらうためなので大口バーナーでも構いません。
ただ「必要なだけ熱すればロウ付けは出来るし母材は溶けない。」という事を覚えるための練習なので高火力グセがある人は小口バーナーを使いましょう。
また動画の後半でも言っていますが、彫金はロウ付け作業だけでなくいろんな作業で「作業を効率化する、やりやすくする補助工具」というのがたくさんあります。
今回のロウ付け動画ではあえて「第三の手」を使用していません。
動画の途中でピンセットで丸カンを添える際に母材の真鍮板が倒れるなど動いてしまっていますが、第三の手で押さえればそういった事はありません。
作業の中で自分がやりにくかったことを基準に、やりにくかったことをやりやすくする補助工具を探してみるといいと思います。
1の母材の用意に関しては材料紹介の項目で先述しているので省きます。
丸カンにホワイトフラックスをちょっとつけて、フラックスの粘度(ねっとり具合)を利用して銀ロウをくっつける。
置きロウなどでは母材に銀ロウを小さく切ったものを置きます。
この方法は丸カン側に銀ロウをつけておくことで不要な箇所に銀ロウが流れる事も防ぐことができます。
丸カンを閉じるロウ付けを一緒にすると効率的ではありますが、今回はあくまで練習です。
丸カンのどの部分でもいいのでホワイトフラックスをつけます。
筆者が普段使用している粉末フラックスを煮溶かしたものに比べて粘度(ねっとり具合)が高いので、その年度を利用して銀ロウをくっつけます。
注意点
丸カンに銀ロウをくっつけるとき、くっつける銀ロウが大きすぎると作業の途中で銀ロウが落ちる事もあるので小さめにすることがポイントです。
またしっかりとくっつけたいからと言ってホワイトフラックスをべっとりつけると次の工程でホワイトフラックスの泡立ちが強くなって銀ロウが落ちる可能性があります。
銀ロウが大きすぎる・ホワイトフラックスが多すぎる。
どちらの場合も銀ロウが作業中に落ちる可能性があるので注意しましょう。
丸カンをちょっと熱して銀ロウを半溶かしする(これで銀ロウを落ちないようにする。)
母材と一緒に熱する作業の前に丸カンにくっつけた銀ロウが落ちないように軽く熱して半溶かしの状態にします。
この状態は明確に「このぐらい溶かす」というのはありません。
とにかく丸カンから落ちる事が無いように、この次の作業で母材と丸カンを一緒に熱する作業時に落ちないようになっていれば何でもいいです。

この金属線を利用したロウ付けの動画でも紹介していますが、銀ロウが動いてしまうという方は動かない状態にちょっと溶かしてしまう事をオススメします。
「溶かしきってしまって出来ない。」という方は火が強い、火が近い、火を当てる時間が長いというのが考えられます。
この半溶かしに関しては火を当てる角度というのがほぼ関係ありません。
ちょっとしたひと手間ですが覚えておくと非常に便利です。

母材を熱して良きところで丸カンを添えて一緒に熱して銀ロウを流す。
最後に母材に丸カンを添えてロウ付けします。
動画を見てもらう通り、熱の加わり方(熱の上がり方)が違うサイズの大きなものと一緒に無闇に熱すると丸カンが溶けてしまうので、先にサイズの大きな母材から熱して後から丸カンを添えます。
銀ロウをその場で溶かすのではなく母材との間に流す必要があるので多少の加熱は必要です。
慌てて熱しない、すぐにはつかない
最初の丸カンを大きさの違う母材にロウ付けする時は気長に熱することをオススメします。
もちろん大口のガスバーナーで行えば作業も早いのですが、温度の上昇の仕方が違うので大口の場合でも最初は母材だけを熱します。
ロウ付けしたい場所同士をぐりぐりと押し付けても必要な温度に達していないと銀ロウは流れません。
1個目の丸カンのロウ付けの後、酸洗いせず(フラックスを除去せず)にそのまま丸カンのロウ付けを繰り返す。
1個目の丸カンをロウ付けした後に酸洗いは行いません。
フラックスを除去してしまうと練習の意味が薄れます。
フラックスを除去しない状況だと銀ロウの流れやすさがそれほど変わっていないので、細かく熱することを心掛ける必要があります。
特に火を当てる場所と距離、火の大きさが重要です。
「とにかく強火」という考え方で行うと丸カンを溶かしてしまう可能性と最初にロウ付けした箇所が溶けて崩れてしまう可能性があります。
繰り返しになりますが、今回は鋼線でからげたり第三の手で固定したりというのはあえてやっていません。
作業の中で必要に感じた工具はご自身でお探しください。
まとめ
今回は彫金のロウ付けの基本の練習方法という事で「丸カンを積む練習」を紹介しました。
丸カンを積むロウ付けの練習のやり方
- 最初に母材を用意します。(これは何でもいいですが、冒頭で言った通り熱の通り方の異なる、または大きさの異なるものがオススメ。)
- 丸カンにホワイトフラックスをちょっとつけて、フラックスの粘度(ねっとり具合)を利用して銀ロウをくっつける。
- 丸カンをちょっと熱して銀ロウを半溶かしする(これで銀ロウを落ちないようにする。)
- 母材を熱して良きところで丸カンを添えて一緒に熱して銀ロウを流す。
- 1個目の丸カンのロウ付けの後、酸洗いせず(フラックスを除去せず)にそのまま丸カンのロウ付けを繰り返す。
真鍮の丸カンはそれほどコストもかからないのでロウ付けが上手くいかない、特に母材(真鍮やシルバー)を溶かしてしまうとお悩みの方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
詳しい内容は本ブログ記事と一緒に動画をご覧ください。

IMULTAでした。
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