こんにちは彫金師のIMULTAです。
今回はロストワックスを使って彫金アクセサリーを製作する際の小ネタについての紹介です。
ロストワックス製法で使用するモデリングワックスの種類は青・紫・緑が基本になっており、製作工程の作業の負荷に耐えるだけの強度があるモデリングワックスで製作にちょうどいい硬さになっています。
それらのモデリングワックスを使って製作する際に困ったポイントがいくらかありますので、そんな時のか行ける方法の紹介です。

ロストワックスを自宅で行う場合の便利なやり方
今回は鋳造に至る前の造形部分の小ネタです。
ロストワックス製法に使用するモデリングワックスは冒頭で紹介した通り青や緑があります。
切削した際に細かな部分んが見づらくなってしまうなどの細かく気になるポイントが出てくる方もいらっしゃると思います。
筆者の場合は細かな部分が見えづらい造形した形のバランスがとりづらいという点で作業の進行が悪くなるのでストレスでした。
その際に使用して便利だったのがインジェクションワックスを使用すること。
ロストワックスのゴム型に流し込む鋳造に使用するインジェクションワックス
インジェクションワックスは基本的にはゴム型に流し込み鋳造用に使用するワックスです。
融点が低く細かな部分にも流しやすいのが特徴です。
切削する感触としてはべたついた感じがありインジェクションワックス自体への細かな造形というのは向いていません。
一方インジェクションワックスの利点は先述した融点の低さとゴム型の細かな部分まで流れているかを確認しやすい視認性の高さです。
一見すると手元での切削・造形には向いていないように感じますが使い方によっては造形にも非常に使いやすいワックスです。
鋳造以外にも使いやすいインジェクションワックス
工具屋でも店頭で販売されているインジェクションワックスですが基本的に鋳造関係の工具の近くに置かれているので、アクセサリーをハンドメイドされている方でも使用したことがない方が多いかもしれません。
どのようなデザインのものを製作するかというポイントに大きく依存するものの、本ブログで紹介しているような彫金技法を生かすためにもととなる指輪やペンダントトップを大まかに造形するのであれば一番効率的な方法といっても過言ではない方法です。
モデリングワックスを細かく造形する場合は過去に紹介したワックスペンやデザインナイフを使用する必要があります。
またモデリングワックス自体もそれなりの値段がするのもポイントです。
比較した場合インジェクションワックスは量に対しての値段が安いので使用しやすいというのがメリットの一つに上げられます。
工具はダイソーなどで販売されているはんだごてと彫刻刀で十分です。
デザインを書き込んだ紙を貼り付けるにもほかのモデリングワックスよりも適しているので通常使用しているモデリングワックスに紙が貼りづらいなどで困っている方は特におすすめです。
インジェクションワックスを造形する場合のデメリット
インジェクションワックスは切削した際にかなりべとつきます。
フェザーナイフなどを使って丁寧に切り込みを入れればきれいな造形も可能ですが、そういった繊細な造形がしたいのであればグリーンワックスを使ったほうがはるかに効率的で強度的にも安心です。
仮にドラゴンや龍のようなデザインのものを作った場合は角やひげのような細い部分を造形する際にかなり気を付けないとまず間違いなく折れます。
また融点がかなり低いので削りすぎた場合にワックスを盛りなおすといった作業はある程度慣れていないと盛ろうとした箇所以外も一気に溶かしてしまうといったことがあります。
まれにインスタグラムでインジェクションワックスで細かな造形をしたものをアップしている方がいますが、あれは基本的にゴム型に流し込んだ鋳造後のインジェクションワックスです。
モデリングワックスとインジェクションワックスを混ぜる
モデリングワックスを使ってある程度アクセサリー製作をしているとワックスの粉がたまってくると思います。
この時普通に溶かして再利用するのが非常に効率的です。
溶かして再利用する際にインジェクションワックスを少し混ぜると融点が下がり視認性が上がるので使いやすくなりメリットがあります。
光を透過させにくくなるので厚みの確認のためにライトを当てる作業はしにくくなりますが、そういった作業が必要ないのであればお勧めです。

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