趣味としての彫金の始め方

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こんにちはIMULTAです。

今回はYOUTUBEの動画にいただいた「趣味として彫金を始めるにあたって」の質問についての回答です。

近年ではYOUTUBEなどネット上に情報が増えてきたので20年前と違って「彫金」を始めるハードルが低くなってきていますが、実際に彫金を趣味にするには金銭的な問題など色々と気になる点があるかと思います。

過去に解説した内容を踏まえながら今回いただいた質問について回答していきますので、これから彫金を趣味にしてみようかという方は過去記事やYOUTUBE動画と一緒に参考にしてみてください。

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目次

趣味としての彫金の始め方

今回いただいた質問に関してYOUTUBE上で回答していますが、この記事では補足を加えての解説になります。

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彫金を初心者が練習するなら銅板がいいか?

初心者が彫金の練習をするなら銅板がいいですか?

はい。初心者が彫金の練習をするのであれば銅板一択です。

初心者が彫金の練習をするのであれば銅板一択です。

銅板が彫金の練習に向いている理由

  • 硬さが彫金の練習に適している
  • 価格が安価で手に入れやすい

硬さが彫金の練習に適している銅

銅板は彫金の練習に一番適した硬さを持った金属です。

実際に彫金タガネで彫る練習をする場合、練習材料として挙がってくるので以下の3つ。

  • 真鍮
  • アルミ

シルバーとステンレスはコスト面と硬度的な理由で省いています。

どうしてもシルバーとステンレスで練習したい方はご自由にどうぞ。

硬さがちょうどいいというと「柔らかい」と勘違いする方がいますが、彫った時の彫り粉(彫った時にめくれ上がる金属片)離れ具合がちょうどよくきれいに彫りやすい硬さがあるというのも良い点です。

逆に言うと銅で練習をして彫った部分が汚くなる場合はさらに柔らかいシルバーではさらに汚くなります。

真鍮は彫金の練習に使うには硬い

彫金真鍮板
彫金真鍮板

真鍮は初心者が彫るにはかなり硬く感じるはずです。

物理的に彫れないという話ではないので、叩いていればタガネは入りますし彫れます。

ただ快適に練習できるかというと出来ないはずです。

なましを入れた真鍮であれば加工しやすい硬さになるので彫金の練習に使用しても問題ないと思いますが、何かを作った後の端材ならいざ知らず、彫りの練習の度にいちいち真鍮をなますとなるとハッキリ言ってめんどくさいです。

銅と同じようにAmazonなどの通販で購入しやすい真鍮ですが板として購入したものをなましを取ってあるはずなので初心者が練習用に使うには向いていません。

繰り返しますが出来ないとは言っていません。

なましを入れない状態だと練習しにくいという事を踏まえたうえで真鍮を使うのであれば、その硬さに対応した叩き方を検討するといった創意の幅を広げる要因にもなるのでオススメです。

アルミはタガネが破損しやすい

アルミは彫金の練習で用いるとタガネの先端に細かく絡みつく場合があります。

それに気づかずにそのまま練習を続けるとタガネの刃が非常に欠けやすくなるのでオススメできません。

またアルミのかけらが絡みついたままで刃をアルミの金属面に当てると刃が欠けた時のように刃が金属面にかからない状態になるので、初心者の場合どんな状態になっているかがよくわからずそのまま刃が欠けるところまで行くと思います。

硬度的なことを言うのであれば「柔らかい」事がネックになる金属です。

出来るか出来ないで言うと出来るので真鍮と同じように「そういった金属だ」という事を踏まえたうえで用いるのであれば問題ありません。

ただ初めて彫る時にそんな事をいちいち気にして練習するぐらいであれば銅板を使ったほうがはるかに簡単です。

彫りの練習に限らず初心者のうちは「うまくいかない要因」を出来る限り排除した状態で練習することをオススメします。

タガネは何本で始めたらいいか?

何本のタガネで始めましたか?

1本(赤タガネ)

筆者が彫金を始めた時は赤タガネを本を参考にヤスリで削って作った毛彫りタガネ1本で始めました。

当時は彫刻台の存在も知らなかったので、銅板の裏に両面テープをつけて動かないように机のへりに引っ掛けて直線彫りの練習ばかりしており、曲線を彫る練習を始めたのは彫刻台を購入してからです。

金づちもからかみ鎚を使っていました。

当時は近年の情報に満ち溢れたネット社会とは全く違ったので本当に知識ゼロでスタートしています。

彫金タガネは少なくとも2本は用意して練習したほうがいい

筆者は1本のタガネから始めましたが、これから始める方は少なくとも以下の2本は彫金タガネを用意して練習を始めた方がいいと考えています。

  • 毛彫りタガネ
  • 丸毛彫りタガネ

どの太さを使うかとなるとあくまで「練習する方の好み」が一番優先されますが、練習のしやすさと習熟のしやすさを考えた場合1mm以上の太さの彫金タガネを使う事をオススメします。

刃の形の違いによる違いを確認したほうがいい

絵や模様を彫りたい方はタガネの刃の形に違いで彫り方がどのように違うかという事を確認したほうがいいと思います。

あくまで筆者の肌感覚になりますが、同じ毛彫りタガネでも刃先の形の違いで金属面に入っていく感覚が大きく異なります。

その関係で独学でタガネの刃を研ぎ直すと急に彫れなくなるという事があります。

これは今まで練習で使っていたタガネと刃先の形が変わったことで起きる事なのですが、刃先が少し変わったことで感覚が大きく変わるというのは一般的な感覚だとピンと来ないはずなのでそこで挫折する方もいるはずです。

最初に複数のタガネを用意しておくと1本が破損した時に使い回せるという事と刃先の感覚の違いの比較がしやすくなります。

研ぎ直しを前提に練習するなら青タガネがオススメ

趣味で彫金を始めるにあたってネックになるのがタガネが刃が欠ける事だと思います。

タガネが欠けた時に購入し直すか研ぎ直すかを考えた時に、研ぎ直す前提で彫金を趣味にするのであれば超硬タガネではなく青タガネ(ハイス鋼)を購入することをオススメします。

刃先の形の成形にはグラインダーが必要になりますが、刃が欠けた時の復旧が超硬タガネと比べると圧倒的に早いのが大きな利点です。

筆者が彫金を始めた当時は赤タガネ(炭素鋼)を焼き入れせずにヤスリで成形していたのでタガネの強度を気にしないのであればそれでいいかもしれません。(※始めた頃焼き入れの知識が無かった)

趣味として続けられるか?

彫金を趣味にするにはタガネを購入したり彫刻台やバイスを購入する必要があるのである程度の初期投資が必要です。

これはどの趣味でも一緒ですが初めて見たものの続かないという可能性が考えられます。

筆者自身はいきなり始めた人間ですが、当然すぐに飽きてしまう方もいるはずなので個人的には彫金の体験教室に行って少しやってみる事をオススメします。

有料の体験教室だとしても工具一式買ってほったらかすよりも安くすむので試しに行ってみましょう。

多分彫金を行うのに必要な工具が一式置いてあるはずなので、自分が趣味で行うにあたってどんなものが必要になるかの確認にもなります。

そのまま通ってもいいと思います。

ただ過去の記事で紹介したように全くのデタラメを教えている彫金教室もあるので注意しましょう。

↑YOUTUBEのコメント欄で寄せられた情報ですが、これは意図的に上達できない流れを作っている彫金教室なので同じような教室はやめておきましょう。

松脂は粘土で代用できますか?

松脂は粘土で代用できますか?

できません。

出来るならみんな松脂を使いません。

彫金対象を固定するための道具は過去の記事でも解説しているのでご覧ください。

  • ヒートクレイ
  • サーモロック
  • モデリングコンパウンド(※除去にはアセトンなどが必要)

上記の3つを使う事をオススメします。

工具や薬品などを他の安価なもので代用するのはもともとの効果を把握したうえで「多少効果は落ちるけどこっちでいいかな?」といった感覚をもとに代用するので、大元の効果や使用方法を知らない初心者には全くオススメできません。

ちゃんとした工具があるとわかっているのにわざわざツボを外す必要はありません。

まとめ

今回はYOUTUBE動画に寄せられた質問をもとに回答しました。

趣味で彫金を始めるにあたって自宅にあるものを利用するのはいいと思いますが、実際の彫刻台などの使用感を知らない状態で代用品を探すのはお勧めできません。

安価に始めたいのであればまずは自宅近くの彫金教室の体験教室に行ってみましょう。

ちゃんとお金を使うべき工具というのが彫金は多い関係で専門の工具屋があるわけなので、何の知識もない状態でケチって始めるのは上達しない原因になります。

その状態だと都合のいい意見が耳に入りやすいので悪質な彫金教室に騙されないようにお気を付けください。

IMULTAでした。

これからハンドメイドを始めようという方は真鍮以外のゴールドフィルドやシルバーを使用するうえで、金属の特性上のメリット・デメリットをまとめたこちらの電子書籍をご覧ください。

趣味で作る金属の本格的ハンドメイドアクセサリー、オススメな作り方と金属の種類! ハンドメイドアクセサリー入門

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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