こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。
独学で彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。
自分でシルバーアクセサリーを製作して販売するのと並行して、お客様の持ち物の金属製品に彫金模様を施すオーダーを受けています。
彫金を商売にしていると「どの金属に彫ることが出来るか?」というのが重要になってきます。
最近は特に金属製品が強度を求められる傾向があるので高硬度の金属への彫金を希望される方が増えてきているように感じます。
ただ逆に量産品の中にオリジナリティをプラスしたいという方も増えてきていますので、これも一種の二極化という事になるのかもしれません。
今回紹介するのはそんな量産品に使用される金属の代表格アルミ材への彫金の彫金です。
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アルミ製の製品への彫金装飾
アルミ製の名刺入れへの彫金
今回の彫金のアルミ名刺入れの彫金サンプルはこちら
「身近なものに彫金してあるといいなぁ。」とお客さんに言われたのをきっかけにLOFTで買った名刺入れに彫金模様を彫り入れました。
全面に彫ってしまうとちょっと使用感が感じられなくなるので一部分のみです。
コチラが裏面です。
過去にゴルフクラブ(ステンレス)への彫金を紹介した記事でも簡単に紹介した通り、
アルミ材は量産品で鋳造(キャスト)なので金属の密度が粗いうえに強度が低いです。
その関係でタガネで彫った際の照り返し(彫った跡がキラキラ光る状態)が出にくい素材になっています。(※全くキラキラしないわけではありません。「シルバーアクセサリーなどに彫りを入れるのに比べるとキラキラしませんよ」という事です。)
始めはサンプルとして彫金しましたが、自分自身かなり良い仕上がりにできたことと、
実際に商談の席で使うとこれでもかというほど彫金師であることをアピールできるので現在が私が私物として使用しています。
「革製の名刺入れを使っている人間は仕事が出来る。」そんなビジネス書を読んだことがありますが、
著者は彫金を施した名刺入れをご覧になったことはないと思うので【印象付け】という意味では高級な革製の名刺入れに勝るとも劣らないと考えます。
アルミダイキャストのアルミ材への彫金・白仕上げ
一例として一般的なアルミダイキャストのアルミ材の円柱に彫り入れしたものが上記の画像です。
光を受けた面はボンヤリと優しく光るので、間接照明を使ったお部屋のインテリアなどに向いていると考えられます。
彫金を施した後に黒染めなどの加工を一切しない彫った面の光の反射を活かしたシンプルな仕上げです。
アルミダイキャストのアルミ材への彫金・黒染め
コチラの画像は彫り上げた後に彫った部分を黒く染めた仕上げです。
光を受けなくても模様がはっきりと認識できる仕上げなので使用される環境に左右されない存在感を持っています。
長持ちさせるためには染めている部分をクリアコートする必要など出てきますが、一般的な使用であればそれほど簡単に落ちることはありません。
彫り跡が一律に見えるため幅広い方に人気のある仕上げになります。
鏡面に仕上げられた素材への彫金の場合は先述した「白仕上げの場合」全体的に光って模様の認識が難しくなるので「黒染め」をオススメしています。
冒頭に紹介した名刺入れなどの場合は黒染めをすると「遊び用」としての雰囲気が出てしまうためフォーマルの場で使える方は職業的に限られてくると考えられます。
アルミダイキャストのアルミ材への彫金・黒染め荒らしアリ
模様はすべて一律のもので順番に装飾を増やしていっています。
模様に黒染めを施したのちに模様のない部分を荒らすことで模様に対しての視認性と、全体的に装飾を入れる事での一体感を高めます。
荒らしの方法は何種類かありますが今回のサンプルに使用したのは魚子タガネという工具で荒らした模様です。
絵として彫金された部分以外をすべてに点描の要領で一粒ずつ点を打って空間を埋めます。
数ある装飾の中で一粒ずつ金槌で打ち込んでいく魚子模様は日本の彫金の特徴的な雰囲気を顕すものです。
アルミ材に施すには工賃が非常に高くなりますが「他にはないもの」を求められる方にオススメです。
アルミダイキャストのアルミ材への彫金。
最後に紹介しますのは
- 白仕上げ
- 黒染め
- 荒らし
先述した装飾のすべてを総合して加飾した仕上げです。
非常に独特な仕上げであらゆる要素が入り交じり、他には一つもない製品に仕上がります。
オーダーはお気軽にご相談ください。
まとめ
アルミの製品はそれぞれ強度が基本的に高くないため彫金の途中で破損する可能性がありますが、彫金を施す事で安価な大量生産品であるはずのアルミ製の名刺入れですら非常に格調高いアイテムにすることが出来ます。
昨今の金属製品はアクセサリー・ジュエリーを除いてほとんどがステンレスをはじめとした高硬度の金属か、大量生産に向いたアルミのような強度の弱いものに二極化しています。
過去紹介したゴルフクラブ(ステンレス)と今回のアルミ製品にのどちらもその特性に合わせて彫金させていただくことが出来ますのでお気軽にお問合せください。
あくまでお客様と彫金師が話し合って製作するものになりますので納期や料金は様々です。
もし現在オーダーを検討されている方がいらっしゃいましたら是非お問合せください。
ご依頼お待ちしております。
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