【初心者向け】魚子タガネ(ミルタガネ)の使い方 振り下ろさない打ち方をする

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こんにちはIMULTA(イムルタ )彫金師の上谷です

独学で彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。

今回の読む彫金教室は魚子(ななこ)タガネの打ち方を紹介していきます。

魚子タガネはミルタガネという名前も持っている通り、指輪の縁などのミルを打ったり石留の時に爪を丸めるために使います。

魚子タガネを打っているものと打っていないもので雰囲気が大きく変わります。

彫金教室に通ってみようか検討中の方は予習がてら目を通してみると参考になると思いますのでご一読ください。

ほかの彫金に使用するタガネはこちらのページで紹介しています。

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目次

魚子タガネとは

魚子タガネ
魚子タガネ

今回は魚子タガネの打ち方についてです。

冒頭に書いた内容と重複しますが改めて書くと魚子タガネは別名ミルタガネ、叩くと丸いアトがつくタガネです。

宝飾でのメインの使い方は石留めの爪を整えたり、指輪の縁などにミルを打つのに使います。

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常タガネとスタンプ(刻印)の使い方

叩いた時に一定の模様が付くタガネを常タガネ(じょうタガネ)と言います。インディアンジュエリーで使われるスタンプ(刻印)はこれにあたりますね。なので魚子タガネも一応常タガネの一種ということになります。

魚子タガネを打った跡
魚子タガネを打った跡

ただ魚子タガネは丸型の跡を入れる以外にもめちゃめちゃ使います、むしろ石留めとミル打ちがメイン。

余談ですが自分の希望の形の常タガネ(スタンプ)はなかなか無いので、基本的に自分で作ります。

近年(2021年現在)ではあらゆる模様のスタンプが販売されているので、無理に自分で作るよりもAmazonや海外サイト(estyなど)を根気よく探した方が色んな柄の刻印(スタンプ)が手に入るのでオススメです。

魚子タガネは自分で作るの……??

魚子タガネも自分で作る方はいらっしゃいますが、筆者は基本的に買います。

全て自分で作らないと気が済まない方もいると思いますが、一本90円ぐらいなので通常の魚子タガネを自分で製作する手間を考えたら買った方がいいと思います。

※筆者の場合は模様彫りのお仕事で高硬度の金属に魚子を打つ場合、使っている魚子タガネの先端がガンガン潰れる関係もあり自分で作ってたら時間がいくらあっても足りないので買ってます。

魚子タガネその2
魚子タガネその2

取っ手の部分がちょいお高い(と言っても500円しない)ですが、12本セットと取っ手の部分がついて2500円ぐらいだったはずです。

計算合わなくない?って思うと思いますが魚子タガネと取手と【専用ケース】が付いてこの値段です。

ケースいらないからバラで買〜おう♫

って方々。

買った方がいいですよケース、立てて保管できるからパッと見で先端の大きさ見てわかるし。

まぁ発泡スチロールに立てて保管するのも良し、どうぞお好きに。

魚子タガネはどこで買うの?

筆者は基本的に工具屋で買ってますが、最近ではAmazonや楽天でも販売されるものが充実してきているので試しにネットで買ってみるのがいいと思います。

彫金で使う基本から専門的なものまで道具・工具を紹介。

工具は必要なものだけちょっとずつ買いそろえるようにしましょう。

魚子タガネ(ミルタガネ)の叩き方

もうこれは簡単。

上から真っ直ぐ叩く

以上

バカみたいですが本当にこれだけです。

ただ叩く際は金属が何かという事とその状態を確認しておくことが重要になります。

例えばめちゃんこ硬いステンレスに打つのと、カンカンに熱した後に急冷して(なまして)柔らかくなったシルバーだと打った時の食い込み方がまったく違います。

どのような合金になっているかで違いますが基本的にステンレスはめっちゃ硬い&粘りがあるので、ちゃんと研いだ超硬タガネでも簡単に欠けますし、ちゃんと彫っていたとしても長時間彫ってるとタガネの刃先が丸まってくるような金属です。

かたや、なました後のシルバーはめちゃんこ柔らかいです。

ガムみたいにグニャグニャなわけじゃないですが、タガネで彫る時のちょっとした手元のブレがそのままシルバーの金属面には反映される程度には柔らかいです。

つまり同じ力加減で打ち込むでも、「どのような状態のどの金属」に魚子タガネの食い込み方が違ってきます。

これは片切りタガネ、毛彫タガネの彫りでも同じことが言えるので魚子タガネに限った話ではありません。

柔らかい状態の金属に無闇に強い力で打ち込むと金属自体が圧力で伸びたり変形するので気をつけましょう。

ここで変形すると後で直すのが非常に大変です。

では魚子タガネを打つ金属の状態を確認したら続いて本題の打ち方です。

魚子タガネのお尻にハンマーを置いて上に持ち上げて落とすように打つ

打ち方・叩き方の説明でこれも少しおかしいですが、振り下ろす感覚で叩くと下方向に自分の力もプラスされるのでぶれやすいです。

タガネの叩く部分に一回ハンマーを置いて軽く持ち上げる→力を抜く→ハンマー勝手に落ちる→結果魚子(ナナコ)タガネを叩いてる。

筆者はこんな感じで叩いてます。

ハンマーを持つ手は持ち上げるのとハンマーの姿勢維持にのみ使います。

そんな叩き方で魚子(ミル)をしっかり叩けるのか?

使うハンマーを重くすれば重さで勝手にパワーが増すので大丈夫です。

筆者は「一番重いもので」ホームセンターで買ったレンガ破壊用のハンマーを使ってます。

魚子(ナナコ)を打つときは少し大きめのおたふく槌を使います。

叩く対象(金・銀など)によって変えるのがオススメです。

振り下ろす感じで叩くと連続で叩くときどうしても手首をクイクイ動かして叩くことになるのでずっとやっていると手首が痛くなってきます、ひどい時は腱鞘炎になります。

ハンマーを持ち上げるときは手首ではなく肘、なんだったら肩で持ち上げるようなイメージで持ち上げると作業を継続してても疲れません。

魚子(ナナコ)打ち彫金模様
魚子(ナナコ)打ち彫金模様

模様以外のところはすべて魚子(ナナコ)を打っている(撒いている)ので結構な作業量です。

さらに手首で振り下ろす打ち方をしているとデメリットがハッキリと表れてきます。

振り下ろす打ち方をしているとあらわれるデメリット

  • まっすぐ打てない(打った模様が安定しない)
  • 打ち損じて模様側に打ってしまう(ずれてしまう)→直せたとしても直すの超大変
  • めっちゃ疲れる
  • 腱鞘炎になる
  • 湿布代がかかる

このようにいいことがありません。

イベントで実演するときはでかいハンマーは持っていくのが大変なので標準的なおたふく槌で手首打ちもしますけどが、基本はしません。

持ち上げる打ち方をした場合、上記のデメリット無くなります。

持ち上げて落とす叩き方をするメリット

  • まっすぐ打てる、安定する
  • 狙ったところからずれない
  • 疲れにくい
  • 腱鞘炎にならない
  • 湿布代で他のものが買える
  • 効率的に作業できるのでストレスフリー

こうなります。

でかくて重いハンマーを使うようになると手首をクイクイやって叩くのがまずできないので、最終的にこの叩き方に行きつきます。

魚子タガネ・ミルタガネ打ち方まとめ

今回は魚子タガネ(ミルタガネ)の紹介とシンプルな「魚子タガネの叩き方」を紹介しました。

後半で紹介した振り下ろして叩くのではなく、持ち上げてタガネのお尻に置く感覚で叩くと叩く位置のブレも無くなり、疲れにくくなるので作業効率が上がります。

読んだだけだと本当にそんなことで変わるのか?と感じると思いますが、一度試していただければ振り下ろす叩き方持ち上げて置く叩き方で格段の違いがあることがお分かりになると思います。

作業上使い分けるためには数種類のハンマーを用意する必要がありますが、同じ重さのハンマーでやっても打つ感覚の違いは判ると思いますので是非試してみてください^^

IMULTA(@imulta_jewelry)でした。

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この記事を書いた人

上谷 俊介のアバター 上谷 俊介 彫金師

彫金萬代表、彫金ブランド「IMULTA」を運営しています。

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