こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。
独学で彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。
今回はアセトンについて書きます。

アセトンってなに??
アセトンは身近なもので言うと除光液に含まれている薬品です。
工具屋に行って特に何の説明もなくアセトンがデンと置いてありますが、「これ何に使うの??」という方は注意点も一緒に紹介するので参考にしてください。
今回はお手入れの方法を紹介しています。
転写液としてトランスファーリキッド代わりに使用したい方は以下の記事をご覧ください。


\IMULTAのオンラインショップはこちら/
アセトンを使ってアクセサリーのお手入れをする。
タイトルの通りアセトンはアクセサリーの掃除に使います。


こちらが彫金の工具屋さんで売られているアセトン、大体500円ちょっとぐらいで販売されています。
ただ容器の形状的にちょっとずつ使うには向いていません。
上の画像で紹介しているのはドラッグストアなどで売っている除光液ですがアセトン100%で小出しにできるので非常に使い勝手がいいモノです。
過去に松脂やモデリングコンパウンド・ヒートクレイなど固定系アイテムについて書いた記事でサラッと紹介しましたが質問が来たので別個に書きます。


彫金で加工したいものを固定する時に使用するアイテムを紹介している記事です。
彫金だけでなく役に立つのでどんな効能があるかは確認しておいた方がいいと思います。
身近にあるアセトンは除光液


一番身近にあるアセトンが使用されているものは除光液です。
また金属面にデザインを描く際に油性ペンで下書きを行う場合がありますが、誤って記入した際にインクを除去する時にも使用します。
濃度によって使い分けるとお手入れにとても便利
これはアセトン以外の薬品にも言えることですが、濃度によって用途を分けて管理するとアクセサリーのお手入れに非常に便利です。
例えば100均(ダイソー)で販売されていた除光液はアセトンの濃度があまり高くありませんが、冒頭で紹介したアセトンは濃度100%です。
当然濃度によって効果が変わってきます。
油性ペンでの下書きを消す場合はそこまで強力な効果が無くてもいいので100均の除光液で充分です。
しかし松脂やモデリングコンパウンドを除去する場合、アセトンで除去する前に出来る限り付着面からこそぎ取っていても残った部分はしっかりとこびりついています。


その場合はアセトンの濃度の高い除光液を使用した方が作業時間が圧倒的に短縮されます。
アセトンで松脂などを除去する場合はいくつかの方法があります。
続いて使用方法を紹介していきます。
アセトンの使い方
アセトンを掃除で使う方法は3通り
- 綿棒などに染み込ませたアセトンで付着面を擦る
- クッキングペーパーやコットンなどに染み込ませて付着面に当てて放置する
- 大量のアセトンに掃除するアクセサリーなどを沈める
1と2の方法は部屋のお掃除でも使う事が可能です。
3番は気密性の高いガラス瓶を用意する必要があるので気軽に行うのは難しいかもしれません。
綿棒などに染み込ませたアセトンで付着面を擦る
まずは綿棒などに染み込ませて付着面を擦る方法。
この方法はアセトンの濃度の高い除光液で行います。
アセトンの濃度の低い除光液でも出来ないという訳ではありませんが非常に効率が悪くなってしまうので意味がありません。
アセトンの濃度が高い除光液を染み込ませた綿棒で優しくこすります。
クッキングペーパーやコットンなどに染み込ませて付着面に当てて放置する
クッキングペーパーやコットンなど染み込ませた後に、付着面に密着させてジワジワと松脂・モデリングコンパウンドを除去する方法です。
この方法はキッチンを掃除する際にマジックリンを効果的に使う方法としても紹介されているのでかなり一般的です。
ただアセトンは揮発性が高い(蒸発しやすい)ので、キッチンペーパーやコットンでお掃除するアクセサリーなどをくるんだ後にその上からさらにサランラップを巻いてアセトンの蒸発を防ぎましょう。
平面的なものであればキッチンペーパー、立体的なものであればコットンを使うのが効果的です。
松脂やモデリングコンパウンドの除去に非常に効果的です。
大量のアセトンに掃除するアクセサリーなどを沈める
気密性の高い瓶などにたっぷりとアセトンを溜めて、その中にアクセサリーなど松脂やモデリングコンパウンド、汚れがが付着したものを沈めて除去する方法です。
この方法は圧倒的な効果が期待できますが、宝石などがついている場合思わぬ反応が起こる可能性があります。
また、洗浄を依頼されたものがウレタン系の塗料で塗装されていた物の場合、完全に剥がれてしまうので注意が必要です。
使用する量も多いので一般の方がこの方法を行うことはないと思いますが、アセトンは揮発性の高い薬品のため、ちゃんと密閉容器を用意する必要があります。
一般的なお掃除にも便利なアセトン
ここまでアクセサリーの洗浄方法として散々書いていますが、アセトンは一般的なお掃除にも非常に役に立ちます。
どのぐらいの濃度のものを使用するかにもよりますが、アセトンの濃度の高い除光液であればキッチン周りの油汚れに対してすさまじい効果を発揮します。
アセトンの濃度が低い除光液でも蛍光灯の傘にたまった汚れ(埃をとった後のこびりついた汚れ)程度であれば驚くほどよく取れます。
そこら中をアセトンで掃除するというのは現実的ではありませんが、特にこびりついた汚れをササッと取りたいという時は使ってみるのをオススメします。
アセトンの使用上の注意点
毒性がないとされている薬品ですが、最低限の注意は必要になります。


アセトンの濃度が高いものを使用する場合は換気が必須
彫金で同じような用途で使用するシンナー(ラッカー薄め液)ほどの問題はありませんが、臭いがこもってしまうと気分が悪くなることもあるので、【大量に使用する場合は必ず換気をしてください。】
火気厳禁
引火する可能性があるので火気厳禁です。常識的な考えれば火のある場所でアセトンを使用することはあり得ませんが、「ちょっとぐらい良いだろう。」という甘い考えでやると思わぬ火事を起こすことになるのでご注意ください。
塗料が剥げてしまう可能性があるので使用する場所に注意
アセトンに沈めて使用する方法の項目でも紹介しましたが、アセトンの濃度が高い除光液を掃除に使用する時は使用箇所に注意が必要です。
壁紙に付着した場合は塗装が剥がれてしまう可能性があるうえ壁紙自体が剥がれてきてしまう可能性があります。
汚れごと下の塗装まで剥がれることもあるので、なんでもかんでも使用できるわけではありません。
まとめ
彫金で使用する際、金属に対して使用する際はそこまで神経質になる必要はありませんがインクやウレタン系の塗装が施されているものに対して使用する場合は注意が必要です。
最近は肌荒れ対応のアセトンフリーの除光液も出ているため、除光液であればすべてに入っているわけではありません。
彫金以外のお掃除でも非常に高い効果を発揮するアセトンですが、自分が思っていた以上に効果を発揮することもあるので自己責任で使用してください。
「思ってたよりも剥がれちゃった~。」とか言われても私は知りませんし、筆者やIMULTAの関係者が責任を負う事はありません。
使う前にちゃんと確認したうえで使用すれば非常に便利な薬品です。
🔥 ブログで紹介した技術を詰め込んだエングレービングアイテム
IMULTAでは、今回ご紹介した技法で仕上げたシルバーアクセサリーを販売中!
手作業ならではの精緻な模様を、ぜひ手に取ってご覧ください。


商品はこちらからご覧ください。→https://imulta.shop/
\参考になった方は当ブログのサポートをお願いします/






-
現行憲法下で初の常任委員長解任――ガソリン税問題と国会の責任
-
細い面積に模様を彫金するかどうかとその彫り方
-
彫金で絵を彫る時に立体感を出すやり方、初心者向け
-
YOUTUBEの彫金動画への質問よく使うタガネの形と意図、デザインの考え方・立体化の基礎
-
龍に乗る観音像の意味とは?日本画と補陀落信仰に見る宗教的象徴
-
選挙に行く意味、ちゃんとあります。― 投票で今を変える
-
インディアンジュエリーとは何か?― 迫害から生まれた“生きるための芸術
-
タガネを手作業で成形から研ぎまで行う事に関して