こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。
今回はロウ付けで液体フラックスを使ってみたのでレビュー記事を書きます。
彫金作業で使用するフラックスには一般的なホワイトフラックスと液体フラックスがありますが、
私は今までホワイトフラックスしか使ってこなかったため、彫金歴15年にして初めて液体フラックスを使用しました。
今回のレビューはあくまで私の肌感覚になります。
今後、液体フラックスを使ってみようという方の参考になれば幸いです。
それでは読む彫金教室始まり始まり。
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ろう付けで液体フラックスを使ってみたのでレビュー
まず結論から言うと
液体フラックスはピンポイントのロウ付け用でした。
今回使用した液体フラックスはシーフォース(工具屋)の物です。
買ってからいい塩梅の使い方がわからなかったのでしばらく放置していました。
仕事もひと段落して液体フラックスの検証をしたので順繰り書いていきます。
液体フラックスを使う前の準備
外気に触れるとあっという間に乾いてしまうので、別にスポイトを用意して移して使います。
スポイト届いたので液体フラックスに試してみます。 pic.twitter.com/imP6fiLjG3
— IMULTA(イムルタ ) -金属に模様を彫る職人 (@imulta_jewelry) November 9, 2019
火を使いながら追いフラックスで差す可能性を考えて先端が金属製のものにしました。
しかし追いフラックスはあまりお勧めしません、これについては後述します。
スポイトに移すのは漏斗を使うなり、先端をひっくり返して使うなりしてください。
今回Amazonで購入したスポイトがこちら
この値段で10個入りなので超お得です。
濃度を薄めたホワイトフラックスも入れてみようかと考えてますが、あまり使い道が思い付きません。
2021.9.3追記
転写液をさす用の道具として使いやすかったのでボトルのままで使用しづらい転写液の詰め替えに使用し始めました。
ホワイトフラックスについて
私は粉末状のフラックスを自分で調節して使っていますが、このホワイトフラックスも併用しています。
「ろう付けをやってみたい」というスタートの方は画像に上げているホワイトフラックスをオススメします。
粉末状のフラックスは自分で濃度を調節する必要があるので、「どの程度の濃度のフラックスを使ったら、どの程度ロウが流れるか。」というのが理解できてないと使用するのは難しいです。
粉末フラックスの煮込み方はこちらの記事で紹介しています。
液体フラックスで実際にろう付けをする
ロウ付けの手順
スポイトに移した液体フラックスをろう付けしたい部分にちょっとさします。
始めどの程度の塩梅かわからなかったので、たっぷりと垂らしましたが指し口を金属面に付けて、ちょっと塗布する程度でもロウ付けできることがわかりました。
火はかなり強めに当てる必要があります。
商品の説明として「全体的につけておけば火ムラを保護できる」という記述がありますが、ダラダラと熱していると火ムラが出るので強い火力で一気に熱します。
プリンスガスの小口バーナーでガスが減っている場合、少しやりにくいです。
火を当てる場所はロウ付けしたい場所を直接狙うので、感覚的にはんだ付けで溶接する感じでした。
ロウを「流す」というより「付ける」感覚
ホワイトフラックスを使ってロウ付けをする場合、全体的に熱して銀ロウを流してロウ付けします。
しかし液体フラックスの場合やろうと思えば広く流すことは出来ますが、色々試した結果広く流すのは向いていないと感じました。
丸環のロウ付けなどに向いているイメージです。
大口バーナーを使った場合は広げるのも容易でしたが、広くやるのであればホワイトフラックスを使います。
結果、液体フラックスはピンポイントロウ付け用であると判断しました。※あくまで私の場合。
2020年4月5日追記。
ロウ付けしたいものを一旦液体フラックスで炎で包んでからロウ付けする方法を別の記事で追記しています。
彫金で液体フラックスを使って一旦炎に包んでからロウ付けする。
液体フラックスの利点
彫金関係の工具屋で販売されている液体フラックスを使ってみて感じた利点を紹介します。
ロウ付け前にフラックスの濃度を自分で調節をする必要が無い。
粉末を溶かしてペースト状にしたものと違い液体なので濃度調節をする必要がありません。
慣れればいつでも安定したロウ付けが出来ます。
ホワイトフラックスは粉末状のものを使用する場合自分でコトコト煮て濃度を調節する必要があります。
火ムラの保護が出来る
先述したようにロウ付けの火ムラの保護が出来ます。
全体に塗布した場合はロウ付けのあとの酸洗いにちょっとだけ時間がかかります。
液体フラックスを塗って全体を火で包んでからロウ付けするとより効果的です。
沸騰しないからロウが狙ったところから動かない。
ホワイトフラックスと違い火を当てた時に沸騰することがないので置いたロウが動きません。
これが一番の利点かもしれません。
また鋼線で母材同士を固定して言いない場合は小さいほうのパーツがずれてしまうこともあります。
基本的にずれないようにパーツを作りますが固定を考えずにロウ付けに移れることが作業効率アップにつながります。
液体フラックスの欠点
実際に液体フラックスを使用して感じた欠点を紹介します。
ロウ材があんまり広がらない
広げる必要が無い場合、欠点とは言えませんがオーバーレイのロウ付けをする場合は不便かもしれません。
広がらないので銀ロウのサイズと置く場所がホワイトフラックスを使う時よりもシビアです。
追いフラックスは引火します。
先述した通り液体フラックスを使っての追いフラックスはお勧めできません。
火を当てた状態で追いフラックスすると引火して緑色の炎が上がります。
私は気にしないでやってますが、人によっては火が上がってパニックになりそうなのでお気を付けください。
追いフラックスをする時は、一回火を外しましょう。
カンカンに熱した状態のシルバー・真鍮に追いフラックスをすると表面を滑って流れ落ちてしまうのでコットンなど(ティッシュの切れ端でも染み込むもの)に吸わせたものを塗るのが効果的です。
※コットンで擦り傷に消毒液を塗るイメージ
ホワイトフラックスと混ぜることで広めにロウを流す方法をこちらの記事で紹介しています。
液体フラックスまとめ
用途を限定した場合、初心者にも使いやすい液体フラックス。
しかしホワイトフラックスとは根本的に使用方法が違ったようです。
粉末やホワイトフラックスばかり使って、液体フラックスを長い事使ってこなかった私よりも液体フラックスをロウ付けの入り口にして、初めて使う人の方が先入観がなくて使いやすい可能性があります。
濃度調節が不要で管理も簡単なのでスタートには液体フラックスがいいかもしれません。
IMULTA(@imulta_jewelry)でした。
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