糸鋸

こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。

彫金を始めたばかりの時なんかは色々と道具を買いそろえます。

「彫金セット」なんて名前の工具セットを買ってみたものの、使い方がいまいちわからないなんてこともありますよね。

今回は糸鋸の使い方です。

糸鋸の使い方

IMULTAの彫金製作ハウツーラボ

彫金で使用する工具について書いています。基本的なすり板や糸鋸、ヤスリやタガネなどの専門的な道具一通り紹介しています。貴金…

↑この投稿で彫金に必要な道具を紹介しています。

今回はその中でも特に糸鋸に関して書いていきます。

 

糸鋸で切り出す。

最近世の中で「彫金」と呼ばれるものはかなり幅広くなってきています。

  1. 地金から切り出す・叩いて打ち出すなどして製作する方法(彫金・鍛金)
  2. ロストワックス製法(鋳金)

私が彫金技術として認識しているのはこの2種類。

アートクレイシルバーは含めません。

この中で今回はシルバーから糸鋸を使って切り出す方法と、切る時のコツについて書いていきます。

切り出す作業

まずは作業の風景から

 

糸鋸での切り出し風景

↑糸ノコで模様を切り出している様子です。

はじめに引いた下書きに沿って糸ノコをギコギコと上下させて切り出していきます。

写真に写っている木の板は「すり板」という工具です。

普通すり板は鎹(かすがい)を使ってしっかりと机に固定しますが、私は同じ場所で彫り作業もなんもかんも一緒にやっているので邪魔な時は外せるように鎹はつけていません。

 

鎹を付けた方がいいかどうかで言う絶対に付けた方がいいです。

しっかりと固定されている方が切りやすいです。

 

糸鋸浅いの深いの便利なの

 

糸鋸
糸鋸

まずはどんな糸鋸のフレームがいいかってことですが、大きさね。

私の私物は写真をご覧の通りフレームの奥行きが深いのと浅いのがあります。

深いフレームを使って慣れた方がいいですよ、絶対。

「深い方は使うのに技術がいるから初心者は浅い方がいいよ。」ドヤッ

って言う人に会ったことがありますけど

いやいや、彫金初心者は糸鋸自体使ったことないから、最初っから深い糸鋸に慣れた方がいいに決まってんじゃん!!

って友達が言ってました。

大きいものだったり銀板からの切り出しをしないなら浅いのでもいいと思います。

実際に私も作業内容で使い分けるために2種類持ってます。

切る対象が大きくても小さくてもいけるんで便利なのは深い方。

慣れるのは大変かもしれないませんが、浅かろうが深かろうが慣れは必要なんで深い方で慣れましょう^^

 

糸鋸の刃の種類

フレームの次は刃ですね、刃がないと切れない。

工具屋さんとかネットで買えるのは基本的に3つ

スーパーパイクアンチロープバローべです。

たまに他のダガーという名前の鋸刃とか、他の会社の鋸刃が売ってる時もあるんですけど安定的に売ってるのがこの3つ。

太さは色々あるので細かい模様を切って入れたいなら細いもの、ガッツリ切りたいなら太いものって感じです。

どの会社のものがいいかは人それぞれ好みがあるので使ってみないと何とも言えないですね。

刃はフレームを少し歪ませて留めてピンピンに張った状態にして使用します。

雑に保管すると結構すぐに錆びるので油紙or防錆紙に包んでおくといいです。

100均の箸入に入れておくと保管しやすいですよ^^

彫金工具の保管に関して~176

糸鋸で切る

切るのは刃をピンと張ってから上下に動かしてギコギコ切っていきます。

真っすぐ切るにはそれなりに練習が必要なのとちゃんとした高さで切る必要があります。

地味に糸鋸がフレームにまっすぐ付いてなかったっていうトラップが稀にあります、これはメタルスライム程度にレア。(※これはあんま無いので気にしないで大丈夫。)

あんまり荒い目の鋸刃だと切り初めがスムーズに入っていかないので中くらいの目の鋸刃をお勧めします。

彫金の本なんかだと軽く刃を上に持ち上げて軽く金属に切れ込みを入れてから切り始めるってなってると思うんですが、ヤスリで軽く跡を付けてから糸鋸で切り始めた方がズレないので楽です。

もしくはソロバン型のポインターで切れ込みを付けるのも楽です。

リューターの先端工具について書く、ソロバン編。

上下させながら切りたい方向に軽く押し付けるように切ります(軽くね)。

真っすぐ切りたいなら結構強く押し付けても大丈夫です、ただ鋸刃がちゃんと張れていないと鋸刃が違う方向を向くのでほどほどに。

曲線を切りたい時はカーブするときに細かく動かしながら回していきます。カーブがきつくなるほど上下させる細かさもより細かくなります。その場で180度方向転換することもできます。

その場で反転させる動きは太い糸鋸では向いていません。0番以下の太さの糸鋸の使用を推奨します。実際私はその場で反転させるような切り方はほとんどしません。

一番基本ともいえる作業ですがここでどのくらい正確に切り出せるかで作業時間が大幅に変わります。

ただあまりギリギリで切ると完成前の仕上げで調整しにくくなるので気を付けましょう。

アンチロープ製の糸鋸の刃
アンチロープ製の糸鋸の刃

糸鋸で切る時の高さ

大体切る対象が目線よりちょっと下ぐらい、胸の高さぐらいです。口ぐらいの高さでやってる人もいます。

文字を書く時のように見下ろすような位置でやると線がクネクネしやすくなります。

あとは慣れ。

椅子の高さを下げたりして自分の一番切りやすい高さを探すのがいいと思います^^

「高さなんてテキトーで大丈夫っしょwww」って人は上手く切れるようにならないです、なったら才能パねぇ。

適正な高さで真っすぐ切ることに慣れてからなら高さを変えても大丈夫です。

 

切り出しの補助アイテム「ラスペネ」

糸鋸で切り出す際に作業を効率化する方法として、伝統的な方法で言うと刃に蝋を塗ったりテレピン油を塗る方法があります。

私が色々試して一番いい感じだったのが工業用の切削油をつかうことです。

簡単に手に入るところで言うとラスペネの使用をオススメします。

なんでラスペネかと言うと単純にDIYでも使えるからですね。

蝋燭とか買って使う?

テレピン油なんて生活のどこで使うのよ!?って思いません?

ラスペネはそれ自体が錆び落としと錆止めの効能もあるので家のドアとかが錆びついたりしたときに転用できますよ。

あと車とかバイクのメンテナンス。

そういう意味でもオススメ。

私は以前はステンレス対応のドリルオイルを使っていたんですがラスペネの方が管理が簡単。

少し多めに挿すと作業中の摩擦熱を散らしてくれるので便利です。

 

ドリルオイルとラスペネ
ドリルオイルとラスペネ 

ラスペネを使う前はステンレス対応のドリルオイルを使っていたので切削補助用の機械油でも問題なく使えます。

他の記事でも書いてますが工具は作業中の摩擦熱でダメになることがほとんどなので

糸鋸だろうがヤスリだろうが油を挿すことでいたわれるのであればじゃんじゃん使った方がいいです。

 

凄い細かい作業になると油を挿せないような場面もありますが、そこまで神経を使う作業をする人はこのブログを読むまでもなく

油を挿す挿さないを使い分けてると思うので細々した切り分けは割愛します。

 

細い糸鋸の刃は弾力を利用する

多少慣れてきてからのコツになりますが、細い糸鋸で切る時は弾力性を利用して切っていくがポイントになります。

通常は糸鋸の柄に刃を張る時にある程度ピンピンに張って(弓に弦を張る感じ)使います。

 

使用感は人それぞれ違うのであくまで私の肌感覚ですが、

細い糸鋸の刃はあまり強く張りすぎると刃自体に負荷がかかって逆に切りづらくなるのと

特に曲線を切る時は少し余裕を持たせておかないとすぐに折れます。

ヤスリが入らないような狭い箇所は糸鋸の側面を使って磨くこともあるので、余裕を持たせておかないとうまいこと磨けません。(あんまり張りすぎていると傷が入ります。)

彫金を独学でやって躓いたポイントと解決のコツ

直線を切る(個人の意見)

あくまで個人的な理由ですが、直線を切り出すのであればスーパーパイクがオススメです。

刃そのものに弾力性が少ないので糸鋸の柄に軽く張ったとしても切断面に押し付けた時に刃が捻じれづらいです。

 

曲線を切る、側面で磨く(個人の意見)

曲線を切ったり、側面で磨くのに向いているのはバローべです。

正直曲線を切るのは練習すればどれでもいいんですが、側面で磨くのはバローべが向いています。

特に5/0以下の細い糸鋸を使ったときに顕著になります。

狭いところを磨く時にラスペネを使うと変なところを切ったりするので気を付けてください。

シルバーネックレス

↑こちらは私物ですが(自作)、形は糸ノコですべて切り出してあります。

隙間の部分は全部糸鋸で磨いてあります。

 

糸鋸で狭いところを磨く時のトラブル予防策。

うっかり切りたくないところを養生テープでガード

上の項目で「糸鋸の側面で磨く時にラスペネを使うと変なところを切ることがある」と書きました。

ラスペネを使わなくても糸鋸で磨くことでまだ慣れていない時はうっかり関係ないところを切ってしまうことがあります。

予防策の一つとして「ここうっかり切っちゃいそうだな~^^;」という所は養生テープを小さく切って貼っておくと最低限保護することができます。

 

「練習すればそんなの必要ないからwww」と思う人もいるでしょうし実際その通りなんですが、

いざやってしまったら修正がめんどくさいのであくまで安全策の一つとして頭の片隅に置いておくと役に立つかもしれません。

 

いっそ糸鋸を使わないという選択肢

糸鋸の側面を利用して磨くのは正直結構難しいです。

かなり慣れてからでないとうまくはいかないので、初心者は絶対できないと思います。

そうした場合、いっその事糸鋸で磨くのをあきらめて「キサゲを使う。」というのがオススメです。

プラモ作りの経験がある人には「スクレーパー」と言った方がピンとくると思います。

糸鋸の使い方を紹介する記事で「糸鋸の使用をやめてしまえ」というのも矛盾してますが、

結局 きれいなものを作る。というのが一番なので

糸鋸でうまくいかない時は頭を柔らかくして他の工具を使うのも一つの手です。

 

まとめ

糸鋸を使って金属を切り出すときは作業する高さによって作業の効率とクオリティが変わってきます。

今回は使用方法や糸鋸の刃など道具について紹介しましたが、工具の使用感は体格によって変わってくるので

自分の使用感に合わせて使い分けてください。

 

最後の項で書きましたが結局すべてはきれいなものを作るための工程なので

「この工程はこうやるのが正しんだ!!」なんて思い込まずにやりやすい方法を探してのんびり作業する事をオススメします。

彫金にチャレンジする人の参考になれば幸いです。

 

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IMULTA彫金師の上谷

IMULTAというブランドを展開している彫金師の上谷(ウエタニ)のブログです。彫金のハウツーとかお手入れの方法とか嫁さんのあるあるとか勝手気ままに書き連ねてます。気になる事があったら気楽に聞いてください。答えられる事は丁寧に答えます。わかんないことはわかんない。気が向いたら読んでみてください。