こんにちはIMULTA(イムルタ)彫金師の上谷です。
彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTAという自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。
今回は読む彫金教室です。
毛彫りタガネを使って行う彫金の練習方法の基本を紹介します。
読む彫金教室。毛彫りタガネの彫り方練習の基本
今回はタイトルの通り毛彫りタガネの彫り方の練習方法の基本を紹介します。。
前回の毛彫りタガネの彫り方練習方法その1では真っすぐ彫るための練習方法を書きましたが、第2回では私の偏った考えと爪を立てるための練習などを説明します。
1,2mm以上の太さの毛彫りタガネが練習に適しています。
曲線の毛彫りタガネに関して
毛彫りタガネで曲線を彫る時には曲線彫り用の毛彫りタガネが必要になります。
写真の毛彫りタガネは直線彫り用です。
直線彫り用というか直線を彫るのに向いてます。やろうと思えば曲線も彫れます、ちょっと大変だけど。
曲線用の毛彫りタガネはタガネの上の方が曲線になっています、なだらかなドーム型のような。
直線用の毛彫りタガネで曲線を彫ろうとするとカクカクとした筋が出やすいので直線用の毛彫りタガネ彫る時はめちゃくちゃ細かく叩くなど気を使う必要があります。
結果、毛彫りタガネで曲線を彫ろうとしたら曲線に向いたタガネを作った方が楽です。
毛彫りタガネの彫り方
今まで片切タガネの彫り方の時も書いていますが曲線を彫る時の動かし方は一緒です。
カーブがきつくなる部分では直線部分よりもタガネを細かく叩く。
ただ毛彫りタガネの場合曲線を彫る時はタガネが傾きやすいです。
傾けて彫る時もあるのですが練習の時は彫り跡が傾かないように気を付け方がいいです。
前回の「毛彫りタガネの彫り方その1」の時に書いたようにどの程度彫った時どのようになるか、どう彫りにくくなるか、どういった癖があるかを確認して自分の体型・骨格にあった彫り方を見つける必要があります。
ちなみに思った通りに彫れていない時はタガネが金属に引っかかっているような、持っていかれるような感覚になります。
自分側に問題がある時は
- 毛彫りタガネを傾けて彫っている。
- タガネを打つ回数が足りていない。
この可能性が高いです。
ただ道具側に問題がある場合も多いです。
- タガネが欠けている。
- ちゃんと研げていない。
- そもそも左右対称の毛彫りタガネじゃない。
- よく見たら真っすぐ持った時に刃が水平にならない、もともと刃先が全体的に傾いている毛彫りタガネだった。
これらの可能性があるのでまずは毛彫りタガネがちゃんとしてるか確認した方がいいと思います。
買う人は買う時に、研ぐ人は(多分いない思うけど)研ぎあげる時に。
……ッッッ
特に④は
ホンットになかなか気づけない!!!
もう文字大きくして太くして傾けちゃうね、おまけに赤くしとくよ!!
そもそもかよっ!!っていうね、この無駄な練習時間返して!!ってなる。
Ⅰ~Ⅲをクリアしてるタガネは普通に彫る事自体に問題がないから自分の技術の問題だと思っちゃうのよ!!
気づいたときビックリする!
「24」シーズン1のニーナぐらいビックリする!!
お前かーーっつって!!
……
まずは道具を疑いましょう。
タガネの彫り方、体の動かし方編
彫金は手先の器用さなどよりも彫る時の姿勢や体の動かし方が重要です。
手元の捻り方で色々な彫り方が出来ますが、それらが上達するかどうかは正しい姿勢で彫る事が出来るかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
タガネの持ち方
まずタガネの持ち方は自由。
私の場合は人差し指、中指、親指の3本で持ってますが大きいもの(装飾パネルとか面積が大きいもの)を彫る時なんかは人差し指と親指2本だけで持つ時もあります。
彫っている時の刃先がブレなければ持ち方はなんでもいいと思います。
2本指の時は食い込んでいるタガネの刃先を支点にしてます、作用点であり支点。
支点といっても体重をかけるわけではなく刃先がぶれない程度に軽く添えるぐらいです。
彫る時の体の使い方
上半身は両肘を肩まで上げて、彫り進めるのに合わせて背骨を中心に肩甲骨を回す感じです。←これはあくまで超基本的なことなので彫り方によっていろいろです。
ただ曲線彫るなら大事なポイントです。
慣れてくると肘をそこまで上げなくてもうまいことやれますが、急なカーブを彫る時なんかは肘をグーッっと上げるのを意識した方がいいと思います。
手首だけをクイッっと回すよりも大きく彫りを回すことができますが、手首だけで回すとタガネの角度が変わりやすいので均一の太さで彫りにくいです。(初心者には非推奨)
あとは骨格が違うので自分に合った方法を確認してください。
動画で手首でクイクイ打ってますが、正直なところ実演の時は手首打ちした方が見栄えがいいんですよね。
魚子打ちの時はやんない方がいいですが、練習の時は彫りの時もやんない方がいいですよってことです。
動画で使用している彫金台はイベントに出展する時用なので実際に使っているものは倍以上大きいです。
もし彫金音練習をするのであれば彫金台は重たくて大きいものがオススメです。
ここから超個人的見解
え、ここまで話してきて今更??
って感じですが曲線を彫るなら片切タガネでいいと思います。
毛彫りタガネは彫った跡が「V」の形になりますが、片切タガネは「レ」の形になります。
傾ければ一緒。
これはとある高名なエングレーバーの方もお会いしてお話させていただいたときに仰ってました。
青海波とか伝統柄彫ってる方は違うと思いますけど。
上のような画像の模様であれば全て片切タガネで彫ることが出来ます。
片切タガネで彫った時の面の合わせ方次第で模様が浮き上がって見える彫り方が出来ます。
毛彫りタガネを使うのは石留、彫り留めの時、模様に直線を細かーく入れる時ぐらいですね。
もっと細かく言うと曲線彫り用の毛彫りタガネは陰影を彫る時に使うんですが、これはあんまり一般的ではないので割愛します。
多分絵とか描く、デッサンとかする方は「あ~。」ってなると思います。
あのデッサンとかでめっちゃ線が入ってる絵を思い浮かべるとわかりやすいんですがそういった陰影の線を彫る時ですね。
ここまで書いといてなんだよと思うでしょうがそんなもんです、練習方法として書いていることは全部のタガネで応用できることなので読んでおいて損はないですよ。
IMULTAでした。
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