こんにちはIMULTA(イムルタ)彫金師の上谷です。
彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTAという自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。
今回は毛彫りタガネを使って行う彫金の練習方法の基本を紹介します。
初心者の方が彫金の知識を増やすために役立つ電子書籍を用意しています。
毛彫りタガネの彫り方練習の基本
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。
今回はタイトルの通り毛彫りタガネの彫り方の練習方法の基本を紹介します。
前回の毛彫りタガネの彫り方練習方法その1では真っすぐ彫るための練習方法を書きましたが、第2回では私の偏った考えと爪を立てるための練習などを説明します。
1.2mm以上の太さの毛彫りタガネが練習に適しています。
デザフェスなどのイベントで質問に来た方にアドバイスをすると、初心者の方ほど繊細な線を彫りたいという事で0.5mmや0.3mmの毛彫りタガネで練習したいという方が多いのですがはっきり言って無理です。
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直線用と曲線用の毛彫りタガネに関して
毛彫りタガネで曲線を彫る時には曲線彫り用の毛彫りタガネが必要になります。
写真の毛彫りタガネは直線彫り用です。
やろうと思えば曲線も彫れますが直線を彫ることに向いた形になっています。
直線用の毛彫りタガネで曲線を彫ろうとするとカクカクとした筋が出やすいので直線用の毛彫りタガネ彫る時はめちゃくちゃ細かく叩くなど気を使う必要があります。
結果、毛彫りタガネで曲線を彫ろうとしたら曲線に向いたタガネを作った方が楽です。
毛彫りタガネの彫り方
今まで片切タガネの彫り方の時も書いていますが曲線を彫る時の動かし方は一緒です。
カーブがきつくなる部分では直線部分よりもタガネを細かく叩く。
ただ毛彫りタガネの場合曲線を彫る時はタガネが傾きやすいです。
練習の時点ではまっすぐ彫れるようになることが重要なので刃先が傾かないように注意しましょう。
ちなみに思った通りに彫れていない時はタガネが金属に引っかかっているような、刃先がはまり込んで持っていかれるような感覚になります。
自分側に問題がある場合
- 毛彫りタガネを傾けて彫っている。
- タガネを打つ回数(叩く細かさ)が足りていない。
この2つが原因である可能性が高いです。
ただ道具側に問題がある場合も非常に多いです。
道具側に原因がある場合
- タガネが欠けている。
- ちゃんと研げていない。
- そもそも左右対称の毛彫りタガネじゃない。
- よく見たら真っすぐ持った時に刃が水平にならない、もともと買った時点で刃先が全体的に傾いている毛彫りタガネだった。
これらの可能性があるのでまずは毛彫りタガネがちゃんとしてるか確認した方がいいと思います。
買う人は買う時に、研ぐ人は(多分いない思うけど)研ぎあげる時に。
道具(彫金タガネ)を疑うのは悪いことではない
筆者も独学を始めたばかりのころは初心者だったのでよくわかるのですが、始めのころは「自分が初心者だから・技術が拙いからうまくいかない」という思考に陥りがちです。
ただ彫金では道具の良し悪しが仕上がりにかなり影響します。
自分で研いで使いやすいように作り直すというのが非常に重要です。
専門店で売ってるからちゃんとしたものじゃないの??
工具屋で売っている彫金タガネはちゃんと研ぎあがっており、「彫る」という作業を行う事自体に関しては何の問題もありません。
ただ使う人それぞれの彫り方に合わせて作っているわけではないので使いやすいかどうかはまた別問題です。
購入してから使いやすいようにタガネを調整するのは自分です。
まずは使用するタガネが自分に合った状態になっているかを確認しましょう。
彫金タガネの研ぎは使い方・動かし方を覚えてからじゃないと出来ない。
タガネの研ぎは最低限タガネの動かし方を覚えてからでないと絶対にできません。
初心者にいきなりタガネの研ぎをやらせるような彫金教室に通うのは止めましょう。
簡単に言うと料理を習いに行ったのに用途も形もわからない包丁をいきなり作らされるようなものです。
彫金を基礎から独学でやってみたい方はこちらの電子書籍をご覧ください。
彫金タガネの彫り方、体の動かし方編
彫金は手先の器用さなどよりも彫る時の姿勢や体の動かし方が重要です。
手元の捻り方で色々な彫り方が出来ますが、それらが上達するかどうかは正しい姿勢で彫る事が出来るかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
彫金タガネの持ち方
まずタガネの持ち方は自由。
筆者の場合は人差し指、中指、親指の3本で持ってますが大きいもの(装飾パネルとか面積が大きいもの)を彫る時なんかは人差し指と親指2本だけで持つ時もあります。
彫っている時の刃先がブレなければ持ち方はなんでもいいと思います。
2本指の時は食い込んでいるタガネの刃先を支点にしてます、作用点であり支点。
支点といっても体重をかけるわけではなく刃先がぶれない程度に軽く添えるぐらいです。
こちらの動画は波線を彫る練習方法を紹介した動画ですが、初心者がやってしまう彫金タガネで模様を彫るときの悪い癖の一つに「タガネを持つ指に無駄な力が入って指が痛くなる」というものがあります。
始めのころは長時間彫っているとタガネを持つ指が痛くなってくる人が多いと思います。
もし彫っていて指が疲れると感じたらつまむ力が強いので軽く摘まむことを意識しましょう。
これはすべてのタガネ共通です。
彫金タガネで彫る時の体の使い方
上半身は両肘を肩まで上げて、彫り進めるのに合わせて背骨を中心に肩甲骨を回す感じです。←これはあくまで超基本的なことなので彫り方によっていろいろです。
ただ曲線彫るなら大事なポイントです。
慣れてくると肘をそこまで上げなくてもうまいことやれますが、急なカーブを彫る時なんかは肘をグーッっと上げるのを意識した方がいいと思います。
手首だけをクイッっと回すよりも大きく彫りを回すことができますが、手首だけで回すとタガネの角度が変わりやすいので均一の太さで彫りにくいです。(初心者には非推奨)
あとは骨格が違うので自分に合った方法を確認してください。
正しい姿勢を身に着けるのであれば丸彫りタガネでの練習をオススメします。
動画で手首でクイクイ打ってますが、正直なところ実演の時は手首打ちした方が見栄えがいいんですよね。
魚子打ちの時はやらない方がいいですが、練習の時は彫りの時もやんない方がいいですよってことです。
動画で使用している彫金台はイベントに出展する時用なので実際に使っているものは倍以上大きいです。
もし彫金音練習をするのであれば彫金台は重たくて大きいものがオススメです。
タガネは刃の傾け方・使い方で見え方が大きく変わる。
毛彫りタガネは彫った跡が「V」の形になりますが、片切タガネは「レ」の形になります。
傾ければある程度一緒になります。(※完全に一緒とは言ってない。)
当然彫った跡の光り方が違うので完全に一緒というわけではありませんが見え方の調整をすることが可能です。
上のような画像の模様であれば全て片切タガネで彫ることが出来ます。
片切タガネで彫った時の面の合わせ方次第で模様が浮き上がって見える彫り方が出来ます。
毛彫りタガネを使うのは石留、彫り留めの時、模様に直線を細かーく入れる時ぐらいですね、あとは直線。
もっと細かく言うと曲線彫り用の毛彫りタガネは陰影を彫る時に使うんですが、これはあんまり一般的ではないので割愛します。
多分絵とか描く、デッサンとかする方は「あ~。」ってなると思います。
あのデッサンとかでめっちゃ線が入ってる絵を思い浮かべるとわかりやすいんですがそういった陰影の線を彫る時ですね。
IMULTAでした。
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