こんにちはIMULTAの上谷です。
独学で彫金を始めて15年以上たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっています。
今回は読む彫金教室、彫金タガネを自分で作る時の考え方のブログ記事です。
「どうしても作らないといけない人以外は作らなくていいんじゃない?」的な内容にもなっているのでご了承ください。
最近のハンドメイドでのアクセサリー製作が流行している流れで、ハワイアンジュエリーのように彫り模様が入ったシルバーアクセサリーを自分でも作ってみたいと思っている方には申し訳ないのですが、タガネを自分で作るのはかなり大変です。
仮に彫金(模様を彫る事)を特化した彫金教室に行ったとしても「自分で作らなくてもいいよ。」的なことは確実に言われるはずです。
理由については本文中で説明していきますが、「彫金教室に行けばタガネを研げるようになる。」と考えている方はぜひお読みください。
あんまり楽しい内容にはなってませんが、ここまで読んで「ま~、一応目を通してみるか。」と思った方はご覧ください。
初心者の方が彫金の知識を増やすために役立つ電子書籍を用意しています。
読む彫金教室。彫金タガネの作り方、考え方編。
さて今回の読む彫金教室はタガネの自作について「彫金タガネの作り方、考え方」編です。
なんとなく彫金を始めた方でもタガネを自分で作ってみたい人もいると思います。
過去の彫金ハウツー、彫金タガネの彫り方を紹介する記事の中で
「研げるようになるのは時間がかかるから買っちゃいましょう。」
と書いてました。
今現在もタガネの研ぎ方を聞いてくる方には市販のものを買った方がいいとアドバイスしています。
正直なところ、研いでいる所を見ないとわからないのでちゃんとやりたい人はどこかの彫金教室でタガネの研ぎ方を習った方がいいです。
大事なことですが【タガネをちゃんと研げる人が先生をやってれば】うやむやにされずに教えてくれるはずで、うやむやにする人は、そういう事です。
※彫金タガネの「研ぎ」をちゃんと理屈立てて教えられない人は「彫り」を教えることは絶対にできません。後半を読むとよくわかります。
研磨機と砥石で黙々と時間をかけて研いでいくだけです。
↑ここで紹介してる本の内容以上の事はやってませんwwwマジデ
これを踏まえて
今回はタガネを作るうえでの考え方などです。
では「なぜ自分でタガネを作るのか?」
タガネを自分で作るメリットなどについても書いていきましょう。
彫金を基礎から独学でやってみたい方はこちらの電子書籍をご覧ください。
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彫金に使うタガネを自作する理由・メリット
さてタガネを作るメリットですがまずは単純に
これに尽きます。
まずタガネ作りで躓く要因は3つ。
- 研ぎ方がわからない
- 時間がかかる
- 道具がわからない
間違いなくこの3つに集約されます。
しかしこれらが解決、時間がかかることに納得したところで研ぐ事はできません。
というのも何のために作るの?ってなります。
販売イベントでタガネの研ぎ方を聞いてくる人にこれを言うと「偉そうに!!」とか怒り出す人もいるんですが、これはタガネを研ぐうえで非常に大事なポイントです。
タガネを何のために作るかが超重要
「彫金は自分でタガネを作れて一人前。」なんてことを言われますがこれは逆です。
逆というか言葉が足りてません。
「仕事をするようになると仕事に合わせたタガネが必要になるので、自分で作れないと仕事ができない。だから自分でタガネを作れるようになって初めて一人前。」
要するに「タガネを作れるから一人前」ではなく「仕事する人はタガネを自分で作る必要がある、作らなくてはいけない。」という事です。
タガネを研げる研げないの前に、どんなタガネが必要になっているかを考えないとそもそもタガネを研ぐ・作る意味がありません。
頑張って市販品と同じものを作っても
「市販品でいいじゃんwww」
↑これ実際私が言われたことです^^;
研ぎに特化した人・超精密な機械で作ったタガネが売ってますからね、ちょこっとかじった人間じゃ全然かないません。
要は「どうしても必要」レベルで必要でなければ自分で作らなくていいと思うんですよね正直…。
私はお金がなかったんでどうしても必要だったんです…^^;
※タガネの彫り練習を始めた頃はよくタガネを欠けさせてました。自分でタガネを研げないと市販品のを買う必要が出てきます。私は金欠だったので「自分で研いで作る!!!!!」となりました。
※尻に火がついていたからできるようになっただけなので、独学でのタガネ研ぎはオススメしません。(重要)
彫金のタガネはそこまで安くないので「自分で研げれば節約になる」という考え方もあると思います。
ただ独学で研ぎを身に着けるのは超時間がかかるので、ちゃんと彫金学校なり彫金教室で習うのがオススメです。
タガネを作る時の方向性
これは単純に2つ考えておけばいいと思います。
- 刃の幅
- 刃の形
刃の幅は「細い線を彫りたいから」という理由もありますけど、基本的に作業するスペースに合わせるためです。
例えば広い面積を彫って平面に合わせたり高さを下げたりするときに細いタガネでやってたら時間もかかるし面を合わせるのに無駄な技術がいるし多分汚くなるので、そもそも広い面積を一気に彫れる幅のめっちゃ広いタガネを作ります。
逆に小さい石枠の縁を彫り落す必要がある時はその幅に合わせた細いタガネを作ります。
刃の形は片切、毛彫り、丸彫りなどありますがそういう事ではなくて
- 直線用
- 曲線用
- 捻る、お掃除用
この三つです。
細かく言うと色々ありますが彫るという事に関しては取り合えずこの3つ。
「これこれこういう風に彫ったら、ここに傷ができるからできないようになる刃先にしよう。」
「この幅と刃先の毛彫りだと、幅は足りてるけど深さが足りないから幅は同じでもっと深く彫れる刃先にしよう。」
状況に応じた幅と刃先を考えてながら作り始めると一気にできるようになります。
これを説明するのはめちゃめちゃ書かなきゃいけないので本当に知りたい人はこの本を読んでください。
この記事で紹介している6冊の本のうちの1冊です。
例になるタガネがたくさん載ってます。
内容的には初心者向けではありませんが、人間国宝が技術の継承を願って作った本なので基礎知識があれば本当に役に立ちます。
研ぎ方も詳しく載っている本なのでこの本を見ながら地道に練習すれば絶対に研げるようになります。
繰り返しになりますが、最低限彫りの練習をしないと「どんなタガネが必要か?」などの感覚は絶対にわからないのでまずは彫ってみましょう。
次の記事の「タガネの研ぎ方・実践編」も大事ですが研ぎ終わった後の確認作業はもっと大事です。
IMULTA(@imulta_jewelry)でした。
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