工房の写真

彫金の毛彫りタガネ彫り方練習その4~筋彫り

こんにちはIMULTA(イムルタ)彫金師の上谷です。

 

今回は毛彫りタガネの彫り方の練習その4です。

筋彫りという全体のバランスをとる時に彫る彫り方です。

イメージ的には下書きのような感じです。

読む彫金教室始まり始まり

前回は毛彫りタガネで爪を立ててそのあと魚子タガネで丸める方法をお伝えしました。

前回までの毛彫りタガネ関係のブログを見たい方はこちらから

毛彫りタガネの彫り方

今回はタガネで模様を彫る時の全般に関係するお話で、かなり地味な彫り方についてのお話ですがスーパー実践的な内容です。

筋彫り

・呼び方色々

今回の彫り方の名称なんですが、やる人によって呼び方が違います。

私が今まで耳にしただけでも「筋彫り」「ガイドライン彫り」「下書き(下彫り)」「慣らし彫り」と色々あります。ガイドライン彫りなんかはカタカナかよっていうね。

私は好きですけどね。

実際に私「ガイドライン彫り」で説明したりするし。

ネーミングの話はこれぐらいで、そろそろ説明始めます。

地味だけど大事な彫り

簡単に言うとガッツリ深く彫る前に細くガイドラインになるものを彫ることをを指します。

「和彫りは下書きとかしないで一発で彫るのが売りなんだぜ!!」

そんな意見もありますし、私自身銅板・真鍮版だったり銀・金・プラチナは一発彫りがほとんどです。

デザインが複雑でアタリを付ける必要がある時にやります。

というか一発で彫ろうが何だろうがキレイに彫れていれば何でもいいです。

宝石の彫り留めは「筋彫り」をメッチャちゃんとします、ずれると大体修正きかないので絶対したほうがいいですよ。

あと指輪の縁にミルをビッシリ入れる時とか。これはマスト。

絶対的に必要なのは

ステンレス製のものに彫る時!!

もうねカッタイから!!

ステンレスハンパないって!!

上等な時計(Rolex)とかゴルフクラブね。

一発彫りでやる方もいるみたいなんですけど、絶対ガイドライン彫りした方がいい!!

笑えるぐらい超硬タガネが欠けるから。

「それはお前の腕が悪いからだろう。」っていうならどうぞお好きに。

筋彫りをやる理由

  1. 深く彫るにあたって当たりを付ける。
  2. 彫る対象の硬さを確認するため。

どっちかというと1の方が重要な理由です。

硬さを確認するというのは全体的な硬さもそうですが硬さにムラがあるか確認します。

ゴルフクラブとかアンティーク系の(ステンレスじゃない)物は金属の硬さが全体で一律じゃないものがほとんどです、場所によって硬さが違います。依頼者が昔から使っているユーズドのベルトのバックルとかもそうです。

これは私の肌感覚ですが、多分他の方に聞いても同じ答えが返ってくると思います。

  • ゴルフクラブは用途的に全体が同じ硬さじゃありません、フェース部分に近い部分ほど硬い。
  • アンティーク系は時代的に合金技術が今ほど発達していなかったため、合金にムラがあったりします。
  • ユーズドの金属製品で特に身に着けるものはあちこちぶつけたりしているので硬さにムラができています。

気にしないでに一発で彫ろうとすると彫っている最中にいきなりタガネが一気に進みすぎてしまったり逆に急に進まなくなったり、アンティーク系の場合彫っている対象自体が欠けたりする事がありますので気を付けてください。ステンレスを彫ってて急に固くなったな~なんてなった時はだいたいタガネ欠けます。

あとガイドライン彫りしている時に彫っている対象に合った叩くテンポと強さがなんとなくつかめます。

ちなみに叩き方は以前から言っている通り「持ち上げる叩き方」で、テンポがつかめたら少し振り下ろす力を加えて大丈夫です。

金槌を持ち上げる叩き方

ステンレスを彫る時に「持ち上げる叩き方」をマスターしてないとあっという間にタガネが欠けます。

叩いた瞬間にタガネが横に滑るように跳ねたらまず間違いなく欠けてます。

私は急ぎで振り下ろすパワー込み(一気彫り)で彫っていたらタガネが縦に割れました、割れたっつーか裂けたっつーか。竹がパカッと縦に割れるのを想像してもらったら大体あってます。

ステンレスの硬さと叩く圧に耐えかねたんでしょうね。もうね「へ~。」みたいな「勉強になります。」みたいな気持ちになりました。

私はステンレスを彫る時はこんな感じ、時計は硬さ一律なんで大丈夫、でも一気に彫らない方がタガネの負担が少ないので何回かに分けますけどね。

ゴルフクラブ彫金
ゴルフクラブ彫金
ゴルフクラブ彫金
ゴルフクラブ彫金

練習方法

0.5㎜の毛彫りタガネで真っすぐ狙ったところで刃を入れて均一に彫り進めて狙ったところで刃を細く抜ければできますのでぜひ練習してみてください。初めは結構できないんで、、。

彫るというより掬う、捲る、剥くような感覚ですかね、がつがつ彫っているときのような金属の抵抗は感じないはずです。感じたとしたら同じ深さで彫れていないので叩く角度を意識して調整するといいと思います。

「筋彫り」に関しては丁寧に彫ることが彫るうえでの大元になります。

最初に書いていますが端折って一発で彫る事も多いので普通の模様彫りではやらない方がほとんどだと思います、単純な模様を彫るだけであれば私も省略します。

大事なのは全体のバランスをちゃんと取らないといけない時。

タガネは基本は毛彫りタガネを使いますが、片切タガネでも甲すくいタガネでも構いません。

というのも丁寧にキレイに仕上げるための下準備になるものなので最終的に仕上がった時に彫った跡はほぼ見えません。ミル打ちの時は溝が残るので見えますが通常は見えなくなります。

雑にやるとその後の作業がちゃんと仕上がらなくなりますのでやる方は丁寧の彫りましょう。

均一に線を引いてそこに浅く毛彫りタガネで必要な長さだけ彫りを入れます。

 

これを全体的なデザインを加味してあたりを付けるように浅く彫っていきます、毛彫りで深く彫っておいた方がいいじゃん!!という方はやらない方がいいと思います。

だいたい目算がずれて修正不能な毛彫りの線ががっつり入ることになる可能性が高いです、私も「深く彫ればいいじゃん」で失敗しているので。

今回の彫りは技術が云々というよりも全体のバランスを見る構成力のようなものの一部の彫りです。

曲線を多用したデザインを彫りたいという方には不要な技術かもしれませんが、下準備をできるのとできないのとだと自分で彫る時に選べる表現に違いができてくるので地味ですが練習しておくのをオススメします。

まとめ

しっかりとバランスをとる時、硬さを確認しながら慎重に彫る時に必要になる彫り方です。

趣味レベルの方であれば不要かもしれませんが「キレイに彫りたい」という事であれば

練習して損はありませんし、浅くきれいに彫る力加減のちょうどいい練習方法です。

 

 

IMULTA(@imulta_jewelry)でした。

 

IMULTAへのお問い合わせ

ショップはこちら

彫金のご依頼はこちら

 

工房の写真
最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE

IMULTA彫金師の上谷

IMULTAというブランドを展開している彫金師の上谷(ウエタニ)のブログです。彫金のハウツーとかお手入れの方法とか嫁さんのあるあるとか勝手気ままに書き連ねてます。気になる事があったら気楽に聞いてください。答えられる事は丁寧に答えます。わかんないことはわかんない。気が向いたら読んでみてください。