こんにちは彫金師の上谷です。
独学で彫金を始めて15年たちまして現在はIMULTA(イムルタ)という自分のブランドを立ち上げて彫金師をやっている上谷です。
シルバーアクセサリーの作り方などを紹介する記事など彫金に関する記事を書いています。
今回はシルバーアクセサリーの作り方を紹介する中でも「ロウ付け」という作業工程について説明します。
そしてロウ付けの中でもユラユラとした火でロウ付けの時にフラックスを乾かす火の当て方に焦点を当てて紹介していきます。
繰り返しになりますがロウ付けは雑にやったら火事になります。
自己責任でお願いします。
下記記事で書いた準備はちゃんとしましょう。
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ろう付けでフラックスの火の当て方を紹介、丁寧なろう付けで作業への理解を深める。
ちょっとタイトルが長くなってしまいましたが過去に紹介してきたロウ付けの方法の中で「ユラユラとした火でフラックスを乾かしてからロウ付けする」という方法を紹介していました。
これだけの文面だとわかりづらいと思いましたので別途詳しく説明する記事として今回の記事を書きます。
大前提として丁寧な作業のロウ付けなので、ロウ付けを「とにかく火力が強ければできるじゃないかヒャッハー!!!」という方には向きません。
ただ丁寧にやれば出来る方法なので「ロウ付け難しい…」とお悩みの方は一度お試しください。
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寄付するろう付けでフラックスを乾かす
今まで色々とろう付けのやり方を紹介してきました。
よろしければ過去に紹介したロウ付け方法と合わせてご覧ください。
実践・作業のコツ編で詳しいろう付けの方法を紹介している中に火の当て方で大事な部分があるので別途紹介します。
【彫金アクセサリー】自宅でできる金属のロウ付けのやり方と道具を解説!
やり方
結論から
遠くからろう付け部を熱してフラックスを乾かします。
簡単に言うとロウ付け時のフラックスを「熱する」というより「乾かす」方法です。
ろう付けをやり始めたばかりの方は中々意味が分からないと思いますが、フラックスを付けて乾かしてから火力を上げた方が水分の沸騰でロウ材が動かないのでろう付けしやすいです。
【彫金アクセサリー】自宅でできる金属のロウ付けのやり方と道具を解説!
↑この記事で紹介している方法の中の一つです。
あくまで私のオリジナルの方法なので参考程度に読んでいただければと思いますが、実際仕事で使っている方法なので本当に参考になると思います
フラックスの調節がしやすい。
適当にやっても出来るっちゃ出来ますが継続して安定したろう付けをやりたいのであれば一度試す事をオススメします。
そうすると「ろう付けあるある」を回避しやすいです。
ろう付けあるある
ろう付けあるあるとして(置きロウの場合)
- フラックスを塗る
- ロウ材を乗せる
- 火を当てる
- パチッと鳴ってロウ材どっかに飛んでいく。またはフラックスがブクブク沸騰してロウ材が狙ったところからずれる。
置きロウは小さく切ったロウ材をロウ付けしたい場所に置いて行う方法です。
あるある~
ろう付けで重要なフラックスの調節
保管する時のフラックスの調節
↑しょっちゅう書いている内容なんで、それだけ重要だと思ってください。
ペースト状のフラックスはペトッと塗るだけでいいんですが長い事色々やっていると粉末状のフラックスを使ったり煮詰めたり保管の方法もいろいろ変わってきます。
複数の位置のロウ付けを行う時にペースト状のホワイトフラックスで全体をベトベトにしてたら時間もかかるし「溶けすぎ」問題とかが出てきてうまい事ろう付けできないので、やりやすいように濃度を調節してろう付けします。
複数カ所をろう付けする時にせっかくろう付け出来た箇所が、違う部分をろう付けしているときに再度溶けだしてずれてしまったり外れてしまったりする事があります。
ロウ材が溶けすぎる事を言ってるのでくっつけたい金属(母材)を溶かしてしまうわけではありません。
母材を溶かしてしまう人はそもそもムキになって火を当ててしまっているor無駄に火が強いだけです。
ろう付け部分でのフラックスの調節
要するに今回の「乾かす」火の当て方はロウ付けする部分でもフラックスの濃度を調節してろう付けしやすくしようという発想です。
濃度を調節しながらやるとやりやすいです。
ろう付けの途中で一回でも火を外したら、酸化してろう付けできなくなる。
↑これは完全にウソ。フラックスをちゃんと管理できないorしたことがない人ほどこれを言います。
以前の投稿でわかりやすいように小口バーナーをブンゼン(ユラユラ~っと火が出る状態)にして
フラックスを温めると書いてる通りで、今回はその発展形です。
フラックスを乾かすために行うので今回は火はブンゼンではなくブロー(火がシュゴーッと出る状態)でも問題ありません。
ガスが満タンなら結構大きめの母材も対応できるので、大体のろう付けはこの小口バーナーで出来ます。
初心者は大きい母材は大口バーナー使いましょう。
金属の厚みが2㎜ぐらいの厚みになってくると大口のガスバーナーの方が簡単にロウ付けできます。
画像で紹介している大口のガスバーナーは最大温度1700℃の火が出るタイプのトーチ(火口)です。
2100℃の火力が出るトーチ(火口)もありますが初心者の場合ほぼ間違いなく母材を溶かすので気を付けましょう。
火力が強ければいいというものではありません。
フラックスを乾かす火の当て方、命名「アオヤギ」
個別の工程の名前がないので名前を付けました。
私がこの方法を突き詰めて考えるようになったキッカケが料理漫画「蒼太の包丁」です。
主人公:蒼太の先輩「青柳(アオヤギ)」があるシーンで「イカの黄金焼き」という料理を作ります。
その時「焼き物だが焼くにあらず」というセリフがあります。(ちょっとうろおぼえ。)
イカの表面に塗った卵黄に焼き色がつかないように焼く、つまり乾かすように火を通します。
このような火の使い方があるというのを知って私は今回紹介しているフラックスを乾かす火の当て方をやるようになりました。
目が啓かれるとはこのことですね。
原作者の末田雄一郎先生にも名前を使う事の許可を頂いています。
こちらはまったく問題ないですよ。
むしろ起用していただいてありがとうございます。先日板前さんに聞いた話では、何かを塗り重ねながら焼く調理は『蝋焼き』というらしいです。
塗って乾かしてツヤを出すという方法ですね。— 末田雄一郎 (@jackiesss1629) August 31, 2019
このアオヤギを行う事で、より丁寧にろう付けをすることが出来ます。
おそらくこれを読んで同じようにやる方の中には驚くほどろう付けが簡単に感じられるようになる方も出てくると思います。
・アオヤギでフラックスを乾かす→足りなければ爪楊枝ブラシで塗り足す
以前Twitterで「追いフラックス」「追いロウ」などと言って
ろう付けの途中でフラックスやロウ材を追加する様子を紹介しましたが、あとからフラックスやロウ材を追加するには今回紹介した「アオヤギ」が不可欠です。
フラックスがちゃんと塗れているかどうかの確認にもなるのでオススメどころが彫金独学練習で「必須項目」です。
まずはやってみる
オリジナルで名前を付けていたりすると
「痛いやつだな~wwwww」と思うでしょうが、取りあえず一回やってみましょう。
フラックスをどの程度の濃度に調節したらいいかというのもわかるようになります。
・今回の方法で理解が深まる項目
- 火の強さ・当て方
- フラックスの濃度の調整
- 適切なロウ材の量
- 母材全体の温度管理
少なくとも今回紹介した「アオヤギ」を繰り返していくと
上記の項目への理解度が確実に深まるので絶対に今よりもろう付けが上手くなります。
アルミのロウ付けの場合は高い火力で手早く熱する必要があるのでこの方法は使いません。
まとめ
個人的な考えですが
- フラックスを塗ってロウ材を乗せる
- 火を当てる
- 成功or失敗
これだけだと、ろう付け作業の要素を検証するための工程が少なすぎるため余計に難しく感じるのだと考えられます。
今回紹介しているロウ付け工程「アオヤギ」をすることで特に「火を正しく当てられているか」がよくわかるようになるので
独学でやっている方は絶対にやってみてください。
また液体フラックスに関してもレビューしているのでご覧ください。
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