こんにちはIMULTAの彫金師上谷です。
最近はハンドメイドでの副業も流行ってきているので、色々なものの作り方がネット上で紹介されています。
筆者は独学でプロの彫金師になったのですが、
危ない事や気を付けることを注意してくれる方がいなかった事と「とりあえずやってみよう」のスタンスが災いし、色々とケガや危ない事態にも陥っています。
そのおかげで慎重に作業するようになったので結果的には良かったと考えていますが、人によってはシャレにならないケガをしてしまう事もあると思います。
一段踏み込んだ作り方をする場合は注意する点も増えてくるので
今回はハンドメイドで金属加工をする時に気を付けておいた方がいい事を紹介します。
また金属加工は加工する対象によってやり方が全く違う事が多いので、段取り的に気を付けた方がいい事も紹介していきます。
これから金属アクセサリーの製作に挑戦される方は一度ご覧ください。
初心者の方が彫金の知識を増やすために役立つ電子書籍を用意しています。
売り上げは当ブログとYOUTUBEチャンネルの運営維持、伝統工芸の取材費に当てさせていただきます。
ハンドメイドで金属加工をする時に気を付ける事。
まず今回紹介するポイントは大きく分けて2つ。
全体では5つのポイントについて解説しますが、大きく分けると作業的に気を付ける事と危険の対する心構えの二つになります。
それぞれ解説していきますが特に①はハンドメイドで金属加工を始める前に気を付けるポイントになっています。
ハンドメイドを始める前に段取りなどで気を付けるポイント
まずはハンドメイドで金属加工を始める前に気を付けるポイントについて以下の4つの項で解説していきます。
金属の種類と形状によって製作方法が変わる
大まかに金属加工と言っても加工する金属の種類と形状によって作業内容は大きく違ってきます。
加工する金属の形状
- 線・棒(丸カンなどを含みます。)
- 板
- 筒
- 金属の厚み・太さ
続いて金属の種類
加工する金属の種類
- アルミ
- 銅
- 真鍮
- シルバー
- 洋白(ニッケルシルバー)
ハンドメイドで人気のあるゴールドフィルドは真鍮の表面に金を圧着したものなので今回は除外します。
始める前に「どの形状の金属をどうやって加工するか。」、このような方向性を決めておくと作業が楽になります。
これらの事は金属加工以外のハンドメイドにも該当するはずです。
下記の記事は本記事の内容からさらに一歩踏み込んだ金属の特徴、
製作難易度やパーツの入手しやすさなどをランキング形式で解説しています。
やりたい方法・製作技法の習熟の難しさを考える。
丸カンでパーツをつなげるだけのアクセサリー作りではなく、彫金のように技術が必要になってくるハンドメイドの場合、技術を習得する難しさというのがあります。
例えばゴールドフィルドの金属線をメガネ巻きにするだけでも上手い下手はあります。
もし副業で稼ぎたいと考えている人は技術を習得できるかどうかの確認も重要です。
確認と言ってもやってみないとわかりません。
たまに問い合わせで
僕に出来そうですかね??
という質問が来るんですが、そんなこと私にはわかりません。
ただ私の経験上、先入観で「自分にできるかな?・できないかも?」という疑問が出た技法は間違いなく習得に非常に時間がかかります。
つまり効率的にハンドメイドを副業にしたい方は「できないかも?」と感じた技法はやらずに、もっと自分が出来そうだと感じたものに挑戦しましょう。
趣味でやる方は出来ようが出来まいが彫金の作業自体が目的なので気にする必要はないかもしれません。
しかし独学の場合どの程度が「出来ている状態」なのかがわかりにくいので、難しい技法をちゃんと習得したいのであれば彫金教室や専門学校に行く事をオススメします。
YOUTUBE動画にいただいたコメントから非常に上達しにくい指導をしている彫金教室があるようなので注意喚起としてアップした動画です。
製作に必要な工具を調べてから始める
お金にかなり余裕のある方であれば問題ありませんが、そうでない方には金属加工に必要な工具をしっかりと調べてから始めることをオススメします。
なぜかというと彫金初心者だったころの私が工具について全く無知であり、当時はネット上で彫金に必要な工具について公開しているようなサイトがなかったため、「とりあえず買って使ってみる。」というスタンスで大散財したからです。
金属を削るリューターの先端工具や研磨するための先端工具など、当ブログでは製作に必要な工具を合わせて紹介していますので参考にしてみてください。
大散財は言い過ぎじゃない?
自分の製作したいものに適した工具がなければ、追加で購入するしかないので結構なお金が出ていきます。
初心者には一つの工具を応用して色々な使い方をするというのはハッキリ言って無理。
工具の応用や日用品での代用というのは作業を繰り返して
勝手がわかってきて初めて「これでも出来るじゃん。」となるので初心者にはまず出来ません。
無駄なお金を使うと初めは特にやる気が削がれるのでハンドメイドを始める前に必要な工具についてしっかりと調べましょう。
彫金の工具はこちらの記事をご覧ください。
高価な機械工具と専門的な勉強が必要な場合がある。
技術の習熟と必要な工具の両方に共通することですが、近年では「作ってみたい」と感じたものが非常に高価な機械工具を使用して製作されたものであることが少なくありません。
工具も日々進歩しているので高額な工具(ソフトなど)を購入し、さらに勉強してやっと製作に取り掛かるような金属加工の方法もあります。
そのような場合は独力で気軽の始めるのはほぼ不可能なので道具や使用方法をきちんと教えてくれる学校または彫金教室に行きましょう。
特にジュエリー系の3DCADソフトの場合は非常に高価なので個人で購入するのは現実的ではありません。(90万円とかポンと払えるなら別)
専門学校が法人として購入している場合学校で使用させてもらえる可能性もあり、専門学生の場合専門学生プラン(アカデミックプラン?)で3年間限定で使えるソフトもあります。
防塵などの作業環境やケガについて
先述したような作業前の段取りについての確認と同じぐらい作業中の環境も重要になります。
過去にイベントなどで話したお客さんの中で彫金をやめたという方の主な理由がこちら
- ホコリや薬品のニオイで具合が悪くなった。
- 結婚したら作業できる環境(部屋)が無くなった。
- 作業音に近所から苦情が来た。
このような理由から彫金を辞めた方は少なくありませんので、始める前に環境的に作業可能かを確認した方が良いようです。
以下の項目で解説します。
服飾をやっている知り合いもミシンを使っていたら隣の部屋から苦情が来たと言っていたので、作業音への苦情は金属加工に限った話ではありません。※服飾用のミシンは一般的なミシンよりもかなり音が大きいそうです。
防塵など作業環境
以前ロータリーバーを紹介した記事を書いた時に防塵(ぼうじん)についても書いたように、金属の加工をする際は必ず粉じん(金属の粉や部屋のホコリ)が舞います。
部屋のホコリは掃除をすればある程度なんとかなりますが、作業中にでた金属の粉は集塵機がなければ部屋の中を舞う事になるので防塵ボックスの購入やマスクをするなどの対策が必要になります。
以前の記事では「防塵ボックスを用意するか、ひと部屋を丸ごと工房にするか」と書いた通り、最低限何かしらの制作環境を整える対応をしないと金属加工の場合ハンドメイドを続けるのは難しいです。
ワイヤーアート系の作業はロストワックスでアクセサリーの原型を作る作業に比べて全く削りカスが出ないので、
簡単なものであればリビングなどできますよね。
先端工具の中でシリコンポリッシュ(ポイント)は他の先端工具を比べて粉塵が出にくいものですが、粉が舞いやすいものもあるので最低限の対策は必要になります。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。
アクセサリー製作過程でのケガや火事の危険性を考慮する
刃物や火を扱う以上ケガを負ったりや火事になるの可能性があることを考慮してアクセサリー作りに取り組みましょう。
ケガについて
シルバーや真鍮・銅など金属加工の作業のほとんどはケガをする可能性が少なからずあります。
必要以上に怖がる事はないとはいえ実際に指を大きくケガした人間がいるというのは事実です。
自分もケガをするかもしれない…。
このように注意するのは非常に重要です。
こちらの動画では過去に筆者が不注意で負ったケガについて、聞いていて不快な気分にならない範囲のものを紹介しています。
火事の危険性について
金属加工に火を使う場合、火事の可能性があるという事を絶対に忘れないでください。
火事を起こすと最悪人を害することになります。
このブログでもロウ付けという火を使った金属の加工方法を紹介しています。
繰り返し書いているように火事を起こしてもIMULTAとその関係者は一切の責任を取りません。
あくまで自己責任になるので自分で責任を持てない方は火を使う作業はやめておきましょう。
防炎に関しては他の記事で紹介しているのでご覧ください。
2021年3.29 追記
酸素バーナーの使い方を教えてほしいという質問がきたので追記。
酸素バーナーを使うにはガス溶接の資格が必要になるので、お金を払ってガス溶接技能講習を受けに行ってください。
また工具屋のカタログに小さな酸素バーナーが載っており、他サイトのメーカーの商品説明欄で「資格不要」と書いてあるのですが酸素バーナーは不用意に用いると爆発事故が起きる可能性があるのでこのブログでは紹介しません。(※嘘だと思う人は厚生労働省のHPを見てね。)
集合住宅の場合、酸素バーナーを使用して問題ないか建物の管理会社に確認を取る必要があります。
まず間違いなく使用許可が出ないと思います。
ロウ付けの安全対策に関しては以下の動画をご覧ください。
まとめ
今回紹介したポイントはこちら。
多いように感じるかもしれませんが、これらを考慮してから始めるだけで下調べ無しでハンドメイドを始めるよりもはるかに効率的に楽しく作業できるはずです。
当ブログのようなやり方を紹介するブログを書いている人間としては、ある程度下調べをしてから始めることをオススメします。
詳しい作り方を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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副業として将来販売イベントなどへの出展を検討されている方はこちら
イベントに出展し始めた方を狙って色々と声をかけてくる人間をいるので、これから出展する方はこちらの動画に目を通しておくことをオススメします。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。
販売で原価などに関して知っておくと製作の考え方が変わってきます。
IMULTAでした。
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