こんにちは彫金師の上谷です。
以前ハンドメイドに使用する金属の中でアルミを紹介しました。
このブログの中ではアルミを使用してのアクセサリーを載せていなかったのでこの機会に透かし彫りで作ってみました。
強度的に不安が残る金属のためハンドメイドに使用するのはオススメしませんが、作った際の使用感などを解説しようと思います。
興味のある方はご覧ください。
【金属でハンドメイド】アルミで透かし彫りのペンダントトップを作る

今回製作したペンダントトップじゃはこちら、アラベスク模様を透かし入れたペンダントトップです。
形自体はシンプルなので難易度は高くありません。
最終的にバフまでかけて最後に表面保護もしたので今後の腐食についても観察したいと思っています。
アルミの透かし彫りに使った工具
他の彫金に使われる工具は別の記事で紹介しているのでそちらをチェックしてください。
以前紹介した透かし彫りの記事でも工具を紹介していますが、内容はほぼ一緒なので割愛します。
ドリルでの穴開けはリューターを使用すると非常に効率的に作業できるのでオススメです。
金属を切ったり穴を変える時は必ず切削補助の油を使いましょう。
工具のが長持ちするようになります。
続いて作業工程の解説です。
アルミを透かし彫りする作業工程を解説。
透かし彫りネックレスの製作工程
- デザインを下書きする
- ドリルで穴を開ける
- 穴に糸鋸の刃を通して切り抜く
- 全体を整えて磨く
まずは程々の大きさのアルミ板を切り出すなり、希望のサイズのアルミ板を購入するなりして用意します。

私は大き目のアルミ板が工房に合ったのでちょっと小さめに切り出していますが、そんな大きいアルミ板持っている人もそうそういないと思うので、大きい板からの切り出しは今回の作業工程から省きました。
アルミは切り出す時にシルバーなどと違って臭いがきついので、多分人によってはその臭いだけで受け付けない人もいると思います。
ここから作業に入っていきます。
糸鋸の使い方はこちらをご覧ください。
アルミ板にデザインを下書きする

アルミ板に油性ペンでデザインを書き入れていきます。
あまり細かい模様にすると大変なので、初めてやる方はもっと大雑把なものにした方が取り組みやすいです。
もっと緻密で最後にしっかりと彫り入れするようなデザインの場合はもっと細かく書き込むペンの色も変えて設計図のようなデザインを描き込みます。
下絵を描き込み終えたらドリルで穴を開けていきます。
アルミ板にドリルで穴を開ける。

デザインを描き込んだらそれに沿ってドリルで穴を開けていきます。
ドリルで穴を開ける時に写真を撮り忘れたので画像はイメージです。
ドリルで開けた穴は糸鋸の刃を通すためのものなので、小さすぎると作業がしづらくなるため1mmぐらいの大きさで開けましょう。
こういったドリルの穴あけ工程がある記事では「手回しドリルではできませんか?」というお問合せをいただくのがあるあるです。

ハンドドリルでも出来まぁす!!(超めんどくさいけど)
出来るか出来ないかで言ったら出来ます。超めんどくさいけど。
作業効率を求める方はリューターを買いましょう。
リューター小話
先日このリューターの「結構昔からあるリューターだけど最近のレビューどんな感じかな?」とレビュー見てみたんですが、訳の分からんものが多いですね。
- 「ハンドピースのチャック部分にホコリが入りやすい。キリッ」
-
そもそもチャック交換が出来るような仕組みになってるから仕方ない。
また金属粉やワックス・レジンなどの粉じんが出る環境で使う事が前提になっている工具なので、机周りを普通に掃除してれば10年ぐらい使えます。実際は私は10年ぐらい使ってる。
さらに言うとホコリが入らないようにするシリコンキャップも500円ぐらいで売られてる。
- 過熱対策の無さ
-
これはこのリューター(HP-300)だけでなく、すべてのリューターの言えることでオーバーヒートは動作異常を引き起こします。
私の過去の経験で言えば日の当たるところに置いていたためフットパネルの変速機能が効かなくなったことがあります。(修理対応)
工具のオーバーヒートを抑えながら使用するのは重要。
だからこれは完全にユーザー側の問題。
- 本体が重くて動かしにくい → そもそもあちこち動かして使う物じゃない
- 電源スイッチがついてない → ついてる。
- 逆回転スイッチと電源スイッチを間違って押してしまう → 眼科推奨。
- ピース端部が金属製ではない事によるショックへの弱さ → 落としたら壊れるわな
大体は雑に使った結果のレビューですね。
ハッキリ言ってこのリューターよりもいいリューターはあります、ただ値段と性能の兼ね合いを考えるのであればこのリューターはお買い得です。
穴に糸鋸の刃を通して切り抜く

アルミ板に開けた穴に糸鋸の刃を通したら切り抜いていきます。
画像は「糸鋸を空いた穴に通してますよプランプラーン」の状態です。
糸鋸の刃を通した時にどっかにぶつけて刃を折ってしまう事がしばしばあるので要注意
どの金属でも最初は大まかに切る

殿金属でも最初は大まかに切り抜いていきます。
よほど扱いなれているのであれば別ですが、糸鋸の刃の太さや金属の種類によって切り進む時の感触は変わってきます。

メンドクサイから一発で切り抜きたい。
やってはいけないとは言いませんが失敗した時に、修正が効かない切り方はあまりオススメできません。
今回のようなデザイン的に十分に余裕のある時は、修正しながら寄せていく方が失敗は少なくなります。
いきなりギリギリの細さで切ると大体は細くなりすぎたうえに、細くなりすぎた部分に全体を合わせようとしてバランスが崩れます。
デザインを切り出す時に使う糸鋸の刃は何種類かの太さのものを用意して、切り出す太さやデザインの細かさによって使い分けます。
アルミ板に書いたデザインを消して全体を整える。

下書きを消すとどんな感じで切り抜けているかがハッキリとわかります。
この状態から「もっとこうしようかな。」という修正を入れていきます。
大まかにはヤスリやリューターの先端工具を使い一番細かいところは糸鋸で修正します。
この時使う効果的な先端工具こちらで紹介しています。
今回加工しているのはアルミなので食いつきが良すぎる超硬はちょっとオススメできません。

内側を修正したら周りを切ります。
先の外回りを切ってしまうと抑える場所が少なくなって作業しづらい場合もあるので、外枠は後から切った方が楽になります。
この画像だと右下が少し膨らんでいるので周りを整える時にロールサンダーやロータリーバーで削ります。
アルミは臭いがきついのとかなり粉が舞うのでマスク必須。
透かし彫りしたアルミ全体を整えて磨く

周りや表面を整えたら最後に研磨バフで磨きます。
アルミは軟らかいので、どの研磨剤を使おうか迷いましたがシンプルに青棒を使っています。
あまり圧と熱を与えると歪むので程々にしましょう。
超音波を当ててからアルミ表面の保護のためコンパウンドで磨く


磨く時に付いた研磨剤を取るために超音波洗浄機に入れます。
シンプルなデザインのものは長時間入れる必要はないので、5分ぐらいでサッと出して最後にコンパウンドでアルミ表面の保護をしつつ磨きます。
(※今回はアルミの劣化についても検証したかったので裏面はコンパウンドで磨いていません。)

こんな感じで完成です。
途中で「今回のようなデザイン的に十分に余裕のある時は、修正しながら寄せていく方が失敗は少なくなります。」と書いたのは間違いありませんが、人によって作業の向き不向きはあります。
初心者がハマりがちな失敗に関してはこちらをご覧ください。
【金属でハンドメイド】アルミで透かし彫りのペンダントトップを作るまとめ
今回はアルミ板の透かし彫りについて解説しました。
今回の作業工程はこちら
透かし彫りネックレスの製作工程
- デザインを下書きする
- ドリルで穴を開ける
- 穴に糸鋸の刃を通して切り抜く
- 全体を整えて磨く
難しい作業はありませんが模様を切り抜いた後の整える作業は根気がいる内容になっています。
今回のポイント
- 一発で模様ピッタリに切り抜こうとしない
- 板を指で押さえる場所を確保するために外枠は内側の模様を切り抜いてから切る
- 磨く時は歪まないように気を付ける。
あとアルミは切ってる時クサい。
材料費もあまりかからないので透かし彫りの練習に使うのはいいかもしれませんね。
興味のある方はお試しください。
金属は違いますがシルバーアクセサリーの作り方を目次的にまとめているのでこちらもご覧ください。
IMULTAでした。
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