こんにちはIMULTA彫金師の上谷です。
今回は片切タガネの練習のやり方についての解説、その中でも基本になる三日月彫りの練習方法について紹介します。
Youtube動画もあるので動画と合わせて参考にしてみてください。
彫金で使用される他の種類のタガネや各使い方に関してはこちらの記事からご覧ください。

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片切り彫り用タガネの練習。三日月彫り


片切り彫りはいろいろな彫り方をマスターすると画像のような模様や鬼滅の刃の絵を彫ることができます。
ただ始めからできるかというとそんなことはあり得ないので基本の練習が必要になってきます。
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今回は片切り彫り用のタガネ(片切りタガネ)で彫るの練習のやり方を紹介していきます。
片切りタガネの基本中の基本の練習方法は【三日月】を彫ること。
読んで字のごとく片切りタガネは片切り彫りをする際に使用するタガネです。
簡単にまとめると以下のようなことができます。
- 直線彫り
- 曲線彫り
- 変化のある模様の彫り
- 金属の表面を低く彫り下げる(鋤彫り、ハツリ)※これはめんどくさいので趣味レベルではまずやりません。
ご覧のように片切りタガネは応用性が高いので練習しておくと様々なことに使えまするので非常に便利です。
使い方がいろいろある中で今回紹介する練習方法は片切りタガネで曲線をうまく彫るようになるためのやり方になります。
また一般的に片切り彫りというと曲線を彫ることをイメージすることがほとんどです。

彫金の基本的な練習に関してはこちらの電子書籍を参考にしてください。
YOUTUBE動画で一緒に活用いただく内容になっています。

練習中は片切りタガネが欠けるのが当たり前
片切りタガネだけでなく彫金の練習中はタガネが頻繁に欠けます。
始めたばかりの場合かけてしまう原因は正しくタガネを叩けていなかったことが原因なので研ぎ直すか新しいタガネを用意して練習しましょう。
片切り彫りで曲線をうまく彫れるようになるには
冒頭で紹介した通り三日月を彫ることが基本であり一番の練習方法ですが、うまく彫れるようになりたいのであれば【きれいに】彫ることを意識すると上達が早まります。
どの程度片切り彫りができるようになっているかによって練習のポイントが変わる

片切り彫りを練習する場合どの程度彫れるようになってきているかによって練習するポイントが変わってきます。
- 片切りタガネを初めて触るレベル
-
片切りタガネの刃がどのように入るものか認識することとタガネの叩き方・動かし方に慣れる事が重要。
この段階で「彫った模様がキレイに彫れているかどうか」を気にする必要ありません。
- 片切りタガネの刃の入り方・動かし方に少し慣れたレベル
-
この状態から三日月をきれいに彫ることを意識して彫り始めます。
細い三日月をきれいに彫れるように、彫ったときにバリが残らないように彫ることが重要。
- 片切りタガネで安定して三日月をきれいに彫れるようになったレベル
-
「細い三日月を安定して彫れるようになってから」というのがとても重要。
- 太い三日月を彫る
- 頂点をずらした三日月を彫る
このように金属面に入れる刃の幅を自由に変えて彫れるように練習します。
慣れてきたら三日月の頂点をちょっとズラして彫ったりして自由に輪郭を取れるように練習しましょう。
写真だと三日月一個だけなので分かりづらいかもしれませんが、模様全体で使用する場合かなり雰囲気が変わってきます。
くっきりとした模様を描きたいときは彫り始めた彫り終わりを合わせて彫るとキレイに見えます。
彫りの練習をする場合金属の特性によって向き不向きがあります。
彫りのみを練習するのであれば「銅」一択、他にロウ付けなども練習したいのであれば真鍮を使いましょう。
そのほかの金属に関してはこちらの記事をご覧ください。
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立体感を出すための片切り彫り

彫った模様や絵に立体感を出すのであれば彫る時の傾斜を絵の内向きにするか外向きにするかが重要であり、絵を彫る時に遠近感を出す時は特に気を使うポイントになっています。
上の画像の芥川龍之介(文豪ストレイドッグスのキャラクター)も平面に彫っていますが絵が浮き上がって見えるように彫っています。
全て片切り彫りで彫っており、刃の向きを内外と使い分けることと線の強弱で立体感を作り出す彫り方です。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。

筆者はシンプルな立体感を出して製作することが多いので絵に対して刃の傾斜はほとんどが内向きです。
遠近感をしっかり出したい時以外はそこまで気にしませんが、和の模様を彫る時は傾斜を絵の外向きにすると絵が平面に見えて和っぽくなり、絵が見やすくなるので練習時は絵の外側に刃を傾けて彫るやり方がオススメです。あと刃が欠けにくくなります。
刃を内向きにして立体感を出す場合は、片切り彫りの彫りの深さで強弱を出すので金属に厚みが足りない場合やデザインによってはできないケースもあります。

また立体感を出さない絵の場合は綺麗に線を引き、すごく細くて浅くて長い三日月を練習すると余白を楽しむような和っぽい感じになります。

繰り返しになりますが最終的に彫金の絵は三日月彫りの集合体なのでこれを練習し続ければ、かなりちゃんと彫れるようになります。
細く刃を入れて、広く彫って、細く抜く
これが片切りタガネ超基本の彫り方です。

作業途中ですが練習してほかの彫金タガネと組み合わせていけばこういった感じのものも彫れます。
画像の彫金に使用したタガネ
- 片切りタガネ
- 毛彫りタガネ
- 魚子(ミル)タガネ
片切り彫りで文字を彫るのは練習には不向き
文字彫りは1発でスコンと彫らないとマズイので本番の前に風柱で練習。 pic.twitter.com/pn0pPpricE
— IMULTA(イムルタ ) -美しい模様を彫る職人 (@imulta_jewelry) March 2, 2021
片切り彫りの練習として漢字やひらがななどの文字を彫る練習をするように書いている参考書がありますが、初心者に文字の彫りはハードルが高すぎます。
なぜならキレイに彫るためには途中で彫り幅と線の強弱を変えなくてはいけないからです。
途中で彫り幅を変えるにはタガネの動かし方の練習で初心者の壁になる、タガネの刃を「捻る」動きが必要になるため三日月彫りの練習もしていない状態で挑戦するには難易度が高すぎるのでオススメできません。
また文字によっては通常の漢字やひらがなの書き順と違った書き順で彫らないといけないといった条件があります。(超重要)
もし初心者がやるのであれば
- 良い指導者(タガネの刃の動きを一文字ずつ実演して見せてくれるぐらい細やかな指導レベル)
- 良いお手本(本当にきれいに彫れた文字を見ながら真似て彫るため)
- 良いタガネ(文字を彫るためには動きに適したタガネを作る必要があります。)
これらが必須です。
彫金教室などで文字を彫ることを課題にされたら絶対にお手本として実演を見せてもらいましょう。
一文字か一つの名前を彫る程度であれば大して時間もかかりませんし、練習する前に参考となる彫り方を見ておいた方が上達しやすいです。
実際に筆者はお仕事で文字を彫る仕事も行っています。

まとめ
今回は片切り彫りの練習のやり方について紹介しました。
基本的に三日月彫りを繰り返し練習すれば片切り彫りは上達します。
「立体感を出す」など平面的な仕上げ以外の部分を追求するようになるとまた違った練習のやり方が出てくるのですが、初心者の方はまずは三日月を彫ってどのようにタガネの刃が金属に入っていくかということとタガネの叩き方を学ぶことをオススメします。
IMULTA(@imulta_jewelry)でした。
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