こんにちは彫金師の上谷です。
独学で彫金を始めて現在はプロとしてご飯を食べています。
以前ロウ付けの練習としてこちらの記事でシルバーリングの作り方を紹介しました。
この記事に関して「難易度が高いので銀線1本でできるシルバーリングの作り方を教えてください。」というDMをTwitterでいただいたので、今回はハンドメイド入門編として銀線で作るシルバーリングの作り方を解説します。
簡単な内容で短くなるので丁寧に書いていきます。
興味のある方はやってみてください。
ロウ付け作業を含む作り方を紹介する記事では毎回書かせていただいてますが
今回のロウ付けは使う火も強くないので火事になる可能性は低いのですが燃える時は燃えますからね。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。
初めてやる方は安全対策に一度目を通していただけると幸いです。
初心者の方が彫金の知識を増やすために役立つ電子書籍を用意しています。
【シルバーリングの作り方】シルバー(銀線)を使って指輪を自作する
今回製作するのは銀線1本で作るシルバーリングです。
まず最初に工具と材料を紹介します。
※ピンセットやロウ付けの場を作る耐熱レンガなどは既にある前提として省きます。
レンガなどロウ付けに必要なものを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
銀線シルバーリングの材料
銀線(0.8mm)
銀ロウ(5分ロウ)
彫金の工具やロウ付け場を作る耐熱レンガなども含めてロウ付けの道具を全般的に知りたいという方は下のリンクからご覧ください。
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銀線をサイズ棒に巻き付けて切る
必要なサイズに合わせてサイズ棒に銀線を巻き付けます。
今回の銀線は太さが0.8mmなので「なまし」をしなくても手で引っ張るだけで充分巻き付けることが出来ます。
※なまし=加熱した銀を急冷して柔らかくし、加工しやすいようにする事
巻き付けた後はゴムハンマーで叩くと曲がった状態で馴染んでいきます。
銀線をニッパーで切ってから成形プライヤーで曲げる
最初から指輪のサイズに合わせて銀線をニッパーで切り、成形プライヤーで曲げてリング状にする方法もあります。
指輪のサイズを測る方法はこちらから。
銀線をロウ付けしてリングにする
こちらがニッパーで切ったばかりの銀線。
上の方に切れ目があるので指輪にするためにロウ付けをします。
隙間があるとロウ付けが上手いことできないのでつなげる部分をすり合わせます。
※すり合わせる=くっつけたい面と面がぴったり合うようにする事。
すり合わせが終わったらフラックスを塗りましょう。
この場合使用するフラックスは2通り
どちらかのフラックスをロウ付けする部分に塗ってロウ材を乗せます。
ロウ材とは融点が低い金属でロウ付けの時の接着剤のような役割をするものです。
ロウ付けは熱する金属全体を温めるとロウ材が溶けて切れ目部分に流れます。(毛細血管現象)
ここで使用するロウ材は「溶けた時に広がりやすく、多少のすき間があっても埋めることが出来る」5分ロウをオススメしています。
ロウ材の種類や用途に関してはこちらの記事で丸カンの作り方と一緒に解説しています。
ロウ付けが終わったらディクセル溶液(商品名:ピックリングコンパウンド)に浸けてしばらく5分ぐらい置いておきます。
浸けておくことでロウ付けの時に使ったフラックスが除去できます。
写真は真鍮リングですがやることは一緒です。
ディクセルが入っているのがわかりやすいように溶け切らない状態で写真を撮っていますが実際は完全に溶け切った透明な状態で浸けこみます。
ロウ付け後のフラックスを取るためにディクセル溶液に浸けるのは必須。
「酸洗い」という名前の付いた工程でロウ付けの後にフラックスを除去するために必須の工程です。
元々は希硫酸を使って行う方法ですが、より安全性の高いディクセル(商品名:ピックリングコンパウンド)を水に溶かしたものを使用し、シルバーを沈めておく時間はどの程度フラックスをつけたかによって変わります。
浸け置きしておけば勝手にフラックスは落ちるのでブラシで擦る作業は必要ありません。
ディクセル溶液から出したシルバーリングは水でゆすぎます。
シルバーリングなど銀材のロウ付けするために必要な道具。(真鍮などでも一緒)
- ガスバーナー
- フラックス
- 耐熱レンガなど安全にロウ付けするための道具
ガスバーナー
今回の記事で製作するシルバーリングであればこのサイズのガスバーナーで十分にロウ付けできます。
デカいバーナーでもできますが慣れていないうちは銀を溶かしてしまうのがロウ付け作業あるあるなので、銀線などの細かいものをロウ付けする時は小さいバーナーを使うのがオススメです。
フラックス
先述の通りフラックスはロウ付けに必須です。
たまにYOUTUBE動画で「フラックスなしでやるロウ付けの方法!」というのがありますが、フラックスを使わないメリットはひとかけらもないのでフラックスを使いましょう。
耐熱レンガなど安全にロウ付けするための道具
耐熱レンガでロウ付けをする場所を作って火事にならないようにロウ付けをしましょう。
安全対策に必要なものに関しては他の記事で紹介しています。
ゴムハンマーで叩いてシルバーリングの形を整える。
さっきリングの形を整えたのになんでまた整えるの??
形を整える理由はこの二つです。
- ロウ付けを行う前のすり合わせでリングが少しゆがんだ状態になっているので修正のため
- ロウ付け作業でロウ材をたっぷり使った場合はロウ付けした場所が流れ切らなかったロウ材が残ってポッコリと盛り上がっている可能性がある
歪んでいるだけであればゴムハンマーで叩いて終了ですが、流れ切らなかったロウ材がポッコリ残ってイビツになっている場合は紙やすりなどで削って形を整えます。
完璧な真円として作れているなら整える必要はありません。
- 銀線の表面を傷つけずに成形して、すり合わせの段階で完璧なリング状になっている
- ロウ材の使用を適正な量で行っている
- ロウ付けを最短の時間で終わらせている
これは普通の厚みのある平打ちリングであれば出来ないこともありませんが、銀線だと金属の弾性があるので難易度が高めです。
めんどくさいかもしれませんが大した手間ではないのでゴムハンマーでポコポコ叩きましょう。
紙やすりで削る工程を含めても5分もかからないはずです。
形を整えたら最後にゴムハンマーで磨きます。(※木槌でも可)
彫金に使用するハンマーについて
今回の作業に関して極端なことを言うと家にあるDIY用の金づちでも丁寧に叩けば作業は可能です。
傷が入りにくかったり必要以上に力が伝わらない作業に適した工具としてゴムハンマーと木槌を紹介しています。
彫金では形を整えたりシルバーを叩いて伸ばしたりなどの作業内容によって金づちを使い分けます。
ハンマーの使い道に関してはこちらをご覧ください。
▼動画で見たい方はこちらからご覧ください。
最後に銀線シルバーリングを磨く
最後にロウ付けの終わったシルバーリングを磨きます。
磨き方は以下の2種類。
- 紙やすりなどを使った手作業での磨き方
- リューターなどの機械工具を使った磨き方
このどちらかの方法で磨きます。
紙やすりなどを使った手作業でのシルバーリングの磨き方
手作業で磨く方法は一般的なシルバーアクセサリーのお手入れ方法に近いので、すでに道具を持っている人もいるかもしれません。
軽く磨いて終了にしたい方は研磨布で磨いてあげれば完了です。
手作業でもキレイに仕上げたい方は紙やすりやスポンジヤスリで細かく傷を取ってから、液体コンパウンドで磨けば鏡面仕上げに近い仕上がりにできます。
他にも研磨フィルムで磨く方法もありますが、研磨フィルムは1枚600円ぐらいしてお高めなので、興味のある方はホームセンターで買って試してみてください。
リューターなどの機械工具を使ったアクセサリーの磨き方
リューターを使う場合は先端工具に何を使うかによって雰囲気が変わります。
- バフ
- ミゼットバフ
- 研磨ディスク
- シリコンポイント
この中で今回一番おすすめなのはシリコンポイント(砲弾型)。
どのシルバーを磨く時にもシリコンポイントをオススメしていますが、今回のような華奢なものを磨く場合は特にオススメです。
バフやミゼットバフの場合、回転数を上げすぎた時に負荷に負けて銀線リングがゆがむ可能性があります。
シリコンポイント(砲弾型)であれば、そういった心配もなく磨くことが可能です。
【ハンドメイドアクセサリー作り方】シルバー(銀線)を使って指輪を自作する。まとめ
今回は銀線のシルバーリングの作り方を紹介しました。
- 銀線は細めの物を使う
- サイズ棒に巻き付けたらゴムハンマーで叩いて馴染ませる
- ロウ付けは5分ロウを使う
- ロウ付けの後はもう一度形を整える
- リューターを使う場合はシリコンポイント(砲弾型)を使うと簡単
ケガのないように作ってみてください。
またこれからハンドメイドを始めようという方は真鍮以外のゴールドフィルドやシルバーを使用するうえでのメリット・デメリットをまとめたこちらの電子書籍をご覧ください。
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今後ハンドメイドアクセサリーの副業を検討されている方はクレジット決済が必要になるので、squareを用意しておきましょう。
ある程度ガスバーナーの火の扱いに慣れたら次はロウ付けの難易度を上げた製作方法に挑戦してみましょう。
IMULTAでした。
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